Polkadotとは?ブロックチェーンの相互運用性を実現する有力プロジェクト概要

Polkadotとは?ブロックチェーンの相互運用性を実現する有力プロジェクト概要

はじめに

世の中では様々なブロックチェーンが開発されていますが、原則として異なるブロックチェーン同士にはインターオペラビリティ(相互運用性)がありません。例えば、BitcoinとEthereumは相互に通信ができない状態です。

多様なニーズをすべて満たすブロックチェーンが開発できれば良いですが、現実的とは言い難いでしょう。

この状況をクリアし、ブロックチェーンがより使いやすいツールとなるには、インターオペラビリティの課題を解決する必要があります(もちろん、プライバシーやスケーラビリティなど他にも課題はあります)。

本記事ではインターオペラビリティの課題にフォーカスしている代表的なプロジェクトのひとつ、「Polkadot」(ポルカドット)について紹介していきます。

インターオペラビリティについては、以下の記事で取り上げています。その際に、PolkadotとCosmosの概要や違いについても簡単に触れています。

▼詳細はこちら
インターオペラビリティとは?CosmosとPolkadotの概要と違いも解説

Polkadotとは?

Polkadotとは、異なるブロックチェーン間の通信を可能にするプロトコルであり、OSS(Open Source Software)プロジェクトです。Ethereumの共同創業者でありYellow Paperも執筆したGavin Woodらによって2016年に立ち上げられました。

また、Crunchbaseによると、Polkadotはこれまでに合計1億8,370万ドルの資金調達に成功しています(2020年8月11日現在)。

参考:Polkadot(Crunchbase)

ユースケース特化のブロックチェーンを開発・選択しやすくなる?

ブロックチェーンで特定の機能を十分に満たしたい場合は、異なる機能とのトレードオフにならざるを得ません。例えば、トランザクションの処理速度を向上させたい場合、分散性については妥協する必要があります。

また、冒頭でも記したように、すべてのニーズを満たす汎用型のブロックチェーンを実現するのは困難です。

Polkadotは、異なるブロックチェーン間の通信を可能にします。したがって、特定のユースケースに最適化されたブロックチェーン開発(およびその活用)を推進すると考えられるのです。

Polkadotのようなプロトコルが普及した場合、例えば、金融取引のユースケースには秘匿性の優れたブロックチェーンを、決済のユースケースにはトランザクションの処理性能が高いブロックチェーンを選択すれば良くなります。

既存のブロックチェーン基盤では要件的に導入が難しくかったケースでも、新たにブロックチェーンを構築するといったアプローチも現実的になるでしょう。

スクラッチでブロックチェーンを開発するのは多くのコストが生じますが、Polkadotのエコシステムには、ブロックチェーンの開発フレームワーク「Substrate」が存在します。

開発フレームワークSubstrate

Substrateは、Gavin WoodがCTOを務める「Parity Technologies」が開発するOSS(Open Source Software)であり、ブロックチェーンの構築に必要なコンポーネントを提供するフレームワークです。

Substrateの活用によって、個別のユースケースに合ったブロックチェーンを構築することができます。

参考:Overview(Substrate Knowledge Base)

背景となる「Web3.0」

Polkadotは「Web3.0」を実現するプロジェクトとしても位置づけられます。

正確な定義はありませんが、Web3.0とはエンドユーザーが自身のデータに所有権を持ち、制御できるWebのことです。ユーザーの送受信データ、およびユーザーが何を支払い、対価として何を受け取っているのかが検証可能なWebであり、ブロックチェーンやIoT、機械学習(AI)などのテクノロジーによって実現すると考えられています。

なお、SNSをはじめとするインタラクティブな通信が一般的となった現在のWebは、「Web2.0」とされています。Web2.0ではGoogleやFacebookのような企業がユーザーのデータを収集・分析し、広告などによって大きな収益を上げています。ユーザーも便利なサービスを利用できている一方で、ユーザーは自身のデータ管理について企業を信頼せざるを得ません。

このような中央集権型のWebの構造を分散化し、データの管理権限を個人に戻そうとするのがWeb3.0です。そして、その基盤となる技術としてブロックチェーンは位置づけられています。

一方で、ブロックチェーンが基盤として広く使われるようになるには、インターオペラビリティなどの課題を解決する必要があります。

以上のような背景を踏まえ、PolkadotはWeb3.0の実現に向けて、インターオペラビリティの課題解決にコミットしているのだと考えられます。

なお、Polkadotは「Web3 Foundation」の中心的なプロジェクトであり、Web3 FoundationはWeb3.0を実現する技術の研究開発に対する資金提供などを行っています。また、Polkadotの開発自体はWeb3 Foundationではなく、Gavin WoodがCTOを務める「Parity Technologies」が請け負っています。

Polkadotの主な構成要素

それではPolkadotを構成する主な要素を紹介していきます。Polkadotにおいて、インターオペラビリティを実現する部分の主な構造(概要図)は以下の通りです。

https://wiki.polkadot.network/docs/en/learn-parachains

Relay Chain

まず、Relay ChainはPolkadotの中心部であり、異なるブロックチェーン間の通信を仲介する機能を持っています。そして、インターオペラビリティだけではなく、ネットワークのセキュリティやコンセンサスに関してもRelay Chainが担います。

また、Relay Chainにはスマートコントラクトをデプロイできません。したがって、ブロックチェーンアプリケーションの開発はParachainで行う必要があります。

例えば、日本国内のスタートアップ「Stake Technologies」は、スケーラブルなスマートコントラクト開発基盤となるレイヤー1のパブリックチェーン「Plasm Network」を開発しています。当メディアでは、同社CEOの渡辺創太さんへのインタビューを掲載しています。

▼インタビューはこちら
Stake Technologies CEO 渡辺創太 氏【特別インタビュー前編】

Parachains

Relay Chainに接続される、特定のユースケースに特化したブロックチェーンです。コンセンサスの仕組みやブロック生成スピード、流通するトークンなどは、各Parachainに依存します。また、ParachainのセキュリティはRelay Chainに依存しています。

Parachainのトランザクションは個別に処理されるため、Polkadot全体としては並列処理が可能です。したがって、Polkadotはスケーラビリティの問題も解決する可能性を秘めています。

基本的にParachainsのデータ構造としてはブロックチェーンが想定されていますが、必ずしもブロックチェーンである必要はありません。
参考:Parachains · Polkadot Wiki

Bridges

Bridgesは、BitcoinやEthereumのような外部のブロックチェーンと接続し、通信するための特別なParachainです。

Polkadotの参加者

Polkadot(Relay ChainおよびParachains)には、ブロックの組成や検証などを担う以下の参加者が存在します。前提として、Polkadotには「DOT」というネイティブトークンが流通しており、ValidatorやCollator、NominatorになるにはDOTをステーキングする必要があります。

  • Collator:担当するParachainのフルノードを維持し、トランザクションを収集して未確定のブロックを生成する。Validatorに対して、状態遷移のproofsと共に当該ブロックを提出する。CollatorになるにはDOTのステーキングが必要。
  • Validator:Collatorから送られたブロックを検証し、ファイナリティを与える。ValidatorになるにはDOTをステーキングする必要がある。検証済みブロックを生成することで報酬を得られる一方で、頻繁にオフラインになったり不正行為を行うとステークしたDOTが没収される。
  • Nominator:信頼に値するValidatorを選出、そのリストを公開する。支持しているValidatorが獲得する報酬の一部を受け取ることができる。NominatorになるにはDOTのステーキングが必要。
  • Fisherman:Validatorを監視し、不正行為を報告する参加者。CollatorやparachainのフルノードはFishermanになることができる。

Polkadotのガバナンス

Polkadotでは、仕様変更をはじめとする様々な提案やその提案を受け入れるかどうかを、DOT保有者による投票によって意思決定する仕組みが取り入れられています。

また、一般のDOT保有者のほかに「Council」(評議会)と呼ばれる組織も存在しており、ネットワークにとって重大な提案や、悪意ある攻撃者による提案の拒否などを担っています。Councilのメンバーとして、最初はWeb3 Foundationのメンバーが選定されるものの、最終的には選挙によって選ばれたメンバーがCouncilを担う予定です。

まとめ

Polkadotのようなインターオペラビリティを実現するプロトコルが広く使われるようになると、ブロックチェーンは各業界や個別のユースケースも特化したものになる可能性があります。今後もPolkadotのようなプロトコルは要注目だと言えるでしょう。

なお、当メディアでは、国内でレイヤー1のブロックチェーン「Plasm Network」を開発し、Web3 Foundationから世界最多となる6度の助成金を獲得した「Stake Technologies」CEOの渡辺創太さんへのインタビューを公開予定です。こちらも併せてご覧ください。

参考資料:
An Introduction to Polkadot
Polkadot Wiki · The hub for those interested in learning, building, or running a node on Polkadot.
What is Polkadot? A Brief Introduction

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