Compoundとは?DeFi最大のレンディングプロトコル概要

Compoundとは?DeFi最大のレンディングプロトコル概要
Compound

はじめに

2020年6月以降、DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)と呼ばれるアプリケーションのスマートコントラクトにロックされた資産の額が急増しています(以下は2019年8月〜2020年7月の推移)。

https://defipulse.com/

ロックされている金額は36億ドルを超えており、過去最高を更新しています。なお、上記の金額はEthereum上で構築されたDeFiアプリについて集計したものであり、他のプラットフォームは含まれません。

本記事ではコントラクトへのロック金額が急増した要因のひとつである「Compound」について解説していきます。

本記事の情報は、2020年7月28日現在のものです。

レンディングプロトコル最大手のCompoundとは?

Compound Protocolは、EtherやDai、Tetherのようなトークンの貸し借りを可能にするレンディングプロトコルです。「Compound Labs」という営利企業が開発しており、これまでに3,320万ドルの資金調達に成功しています。

本記事ではレンディングプロトコルと表現しましたが、Compoundのホワイトペーパーでは”The Money Market Protocol”と表現されています。

2018年5月にはシードラウンドで820万ドル、2019年11月にはAndressen Horowitz(a16z)やPolychain Capital、Coinbase VenturesからシリーズAで2,500万ドルを調達しています。

同プロトコルを用いた開発されたレンディングアプリ「Compound」はローンチ以降、大きなトラブルを起こすことなく2年近く稼働し続けています。また、Compoundのコードは「Open Zeppelin」や「Trail of Bits」といったセキュリティサービス・プロバイダによって監査されています。

スマートコントラクトベースの銀行のようなDeFiアプリ

Compoundでは、ユーザーが「MetaMask」などのウォレットを経由して、スマートコントラクトに自身の資産(トークン)を預け入れたり、コントラクトからトークンを借り入れたりできます。

貸し手となるユーザーは利息を獲得することができ、借り手は利子を支払わなければなりません。貸し借りの際には、貸し手と借り手がマッチングする必要はなく、スマートコントラクトにトークンを預け入れ/引き出されることになります。

ただし、借り入れを行いたい場合は、事前にトークンの貸し出しを行った上で、コントラクトに預けたトークンを担保として設定しなければなりません。借りられるトークンは担保に入れたトークンの総額の75%までです。

例えば、米ドルと連動するステーブルコインDaiを100ドル分だけ担保とした場合、借りられるトークンの総額は75ドルまでになります。

価格の変動によって、借り入れたトークンの総額が担保に入れた額の75%を超えた場合は、担保に入れたトークンがオークションにかけられ、借り入れたトークンが精算されます。

なお、貸し借りできるのは以下のようなEthereumベースのトークンであり、年利(APY)は需給バランスに応じて変動します(固定金利のような仕組みは存在しません)。

https://app.compound.finance/

以上の機能を見ても分かる通り、Compoundはスマートコントラクトベースの銀行のようなアプリケーションだと捉えて良いでしょう。ただし、資産を中央集権的に管理する主体は存在しません。

開発企業が存在し、ローンチ後しばらくは中央集権的にサービスが運営されていますが、後述するように徐々に分散化していく方針が採られています。

債権として機能するcToken

Compoundの特徴的な点として、債権として機能する「cToken」があります。cTokenはCompoundのネイティブトークンであり、貸し出しを行ったユーザーに対して付与されます。例えば、10ETHをCompoundに貸し出すと、同額のcETHを受け取れます。これは他のトークンでも同様です。

cTokenは債権のように機能するため、保有者は貸し出したトークンに対応する利息を受け取ることができます。そして、cTokenはEthereumのトークン規格ERC20であるため、任意のアドレス宛に送付することも可能です。さらに、cTokenは他のDeFiアプリにも統合されており、例えばDEXプロトコルの「Uniswap」にもcTokenがプールされ、取引が行われています。

Compoundにロックされた資産はDeFiアプリで2番目に多い

2020年7月28日現在、Compoundのコントラクトには約7.8億ドル($781.6M)がロックされており、その額はEthereum上で構築されたDeFiアプリの中でも2番目の多さです(1位Makerで約10億ドル)。そして、以下のグラフの通り2020年6月中旬以降、ロック金額が急増しています。

https://defipulse.com/compound

この急上昇は次のセクションで紹介するガバナンストークン「COMP」の導入が要因と見られています。

新たに導入されたガバナンストークンCOMPとは?

本記事の前半でも触れたようにCompoundは、Compound Labsという企業によって開発されています。同社は過去、新規で取り扱うトークンの選定や利率を決定するアルゴリズムの開発などを行ってきました。ただ、単独の意思決定者の存在は、単一障害点となり得るため、徐々に意思決定などの分散化されていきます。

そして、将来的にはCompound Protocolに関するトピックの選定や意思決定は、COMPトークン保有者による提案や投票によって行われる予定です。提案されるトピックとしては、新たなトークンの取り扱いや利息算出モデルの改定などが挙げられます。ただし、トピックの提案を行えるのは、供給されているCOMPの1%を保持している者だけです。

2020年7月28日現在、COMPの時価総額は約362億円です。したがって、提案権を獲得するには、最低でも3.62億円分のCOMPを保有する必要があります。

参考:CoinMarketCap

COMPの総発行数は1,000万COMPであり、そのうち42%がCompoundのユーザーに対して約4年間かけて配布されていきます(残りは開発チームやVCが保有)。高い金利のトークンを多く借りている/貸しているユーザーほど、より多くのCOMPが配布されるメカニズムであるため、Compoundへのロック総額の急増を引き起こした要因となっています。

まとめ

本記事ではDeFiにおける中心的なプロトコルであるCompoundを紹介しました。

すでにCompoundをはじめとして様々なDeFi系アプリが登場しており、本記事で簡単に触れたように、一部のアプリ同士ではトークンなどの統合が行われています。Ethereumのエコシステムにおいて金融機能がモジュール化されているとも捉えられ、今後も様々なサービスが開発されることでしょう。

スマートコントラクトに資産をロックしている分、予期せぬ脆弱性によって資産が危険に晒されるリスクはゼロではありません。一方で、4ケタ億円もの金額が(金融機関などではなく)コード上にすでに乗っていることも事実です。

CompoundはDeFiにおいてトップクラスに資産が乗っている上に、分散型ガバナンスの実現という難易度の高いテーマにも取り組んでいるため、今後も要注目のプロトコルおよびアプリケーションだと言えるでしょう。

参考資料:
Compound | Stats, Charts and Guide
Compound.Finance Lending Rates – Compound Crypto Review
What is Compound? A 3-minute guide to the DeFi lending project
Expanding Compound Governance. Governance is ready to scale from our… | by Robert Leshner | Compound | May, 2020
Compound Governance. Steps towards complete decentralization | by Robert Leshner | Compound

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