イントロダクション
ブロックチェーンの技術や機能を勉強し、いざブロックチェーンを導入しようと考えたときに、 業務上、どのようなメリットがあるのかわかりにくいと感じたことはないでしょうか。
また、Why BlockChain?(ブロックチェーンである必要あるの?)ということもよく言われます。 本稿では、ブロックチェーンを業務適用することで得られるメリットをまとめていきます。
ブロックチェーン導入のメリットは、様々ありますが、以下の2点に集約できます。
- システム構築、運用の効率化 (QCDの向上)
- 経済圏の構築と拡大 (3Vの達成)
メリット1:システム構築、運用の効率化 (QCDの向上)
製造業でよく言われるQCDの観点で整理するとわかりやすくまとめることができます。
Q:品質の担保
ブロックチェーンでは取引などの履歴が改ざんされない形で残すことができるため、商品の流通履歴などを消費者が見ることができます。
結果、商品に対する安全性や信頼性、安心感が可視化され、目に見えなかった品質を商品価値にすることができます。
C:コストの削減
スマートコントラクトを実装することで、プロセス自体を人が介在しない形にできるため、効率化することができます。
また、既存のブロックチェーンの仕組みやBaaSなどの活用により、構築自体のコストも削減することが可能です。
仕組みを管理するインセンティブや合意ルールを組み込むことで、管理の効率化やデータの効率化にもつながります。
D:デリバリスピード
プロセスが効率化されることで、サービス提供のスピードを上げることにつながります。
また、履歴が管理されていることで、何か問題が起こったときに原産地情報を確認するといったトレースバックの時間は大幅に削減することができます。
メリット2:経済圏の構築と拡大 (3Vの達成)
ビックデータの特徴を示すのに3V(Volume,Velocity,Variety)という話がありますが、ブロックチェーンのメリットも、3Vにまとめることで理解がしやすくなります。
Volume:プレイヤーが増える
ブロックチェーンのインセンティブ設計により、プラットフォームに早期に参加することによるメリットをシステム化することが可能です。
また、”品質の担保”に上げているような安心感や信頼を醸成することで、購入者が増える効果も期待できます。
Velocity 流速が上がる
ブロックチェーンで、資産をデジタル化することで、不動産やアート作品などの分割所有が可能となります。
売買が活発化することで、資産の流動性が上がる効果も期待できます。
Variety:売り方が増える
スマートコントラクトで売り手と買い手の合意をシステム化しやすくなります。
たとえば、商品を転売不可にしたり、最短の保有期間を明示することが可能となります(2年間は転売できないようにするなど)。
さらに、転売の際に作者に購入金額の一部を渡すといったロジックも組み込むなど、今まで実現しづらかった売り方を実装することが可能となります。
まとめ
以上をまとめると、以下の表のようになります。
これらひとつひとつのメリットは、実はブロックチェーンでなくても得られるものです。
ですが、プラットフォームを新規に構築または再構築していくような場面では、これらのメリットを複数享受できることがブロックチェーンを選ぶ理由になってきます。
一方、既存のプラットフォームがある領域をブロックチェーンで置き換えていくような活動は、既存のステイクホルダーや利害関係者がいる中、進めていく必要がでてきます。
なぜブロックチェーンを選ぶのか、といった問いかけに対しては、 以下の点をチェックポイントにしていくとよいでしょう。
- 作ろうとしているサービスやプラットフォームが、新規構築/再構築が必要な部分であるか
- ブロックチェーンで得られるメリットを享受することが、より良いプラットフォーム構築につながる
- 構築にあたり、既存のステイクホルダーとバッティングしない(協力体制を仰ぐことができる)