Azure Blockchain Workbenchの概要とメリット

Azure Blockchain Workbenchの概要とメリット

はじめに

仮想通貨以外でのBlockchainの活用が注目される中、実に多くの会社がBlockchainのサービスの開発に着手しています。

しかし実際にブロックチェーンでサービスを作ると言っても、プロトコルレイヤーの選定やインフラの設計、オラクル問題解決のためのIoTデバイスの連携など、実に多くの問題に直面するケースが多くあります。

そんな中、時間と手間のコストを下げる方法として、BaaS(Blockchain as a Service)と呼ばれるサービスの利用が有効です。以下の参考記事に詳細がありますが、BaaSの利用でブロックチェーンのアプリケーションやサービスを簡単に実装できるようになります。

概要と導入メリット

Azure Blockchain Workbenchとは、ブロックチェーン アプリケーション開発のために多くの機能を備えたAzureのサービスです。

メリット1:大幅な開発工数の短縮

開発に必要なコンポーネントが設定されている状態でデプロイできるので、開発工数が大幅に短縮できます。
開発者やビジネスを構築する側にとって、素早くブロックチェーン アプリケーション開発を開始でき、ビジネスロジックやスマートコントラクトの実装など、頭を使うべき重要な点にフォーカスできることは、プロジェクトの大きな助けとなります。

メリット2:慣れ親しんだ言語/フレームワークで開発が可能

Swagger準拠のREST API が作成されるため、開発者自身が慣れ親しんでいる言語やフレームワークを利用して開発を進めることができます。


メリット3:アップデートスクリプトの提供

ブロックチェーン技術の発展スピードはすさまじく頻繁にアップデートが入りますが、一度ブロックチェーンノードをデプロイした後では、最新のバージョンにアップデートするのに手間がかかってしまいます。
Azure Blockchain Workbenchでは、Microsoftがアップデートスクリプトを提供しているので、ローカルで実装するより楽にアップデートが行えます。

参考:
Azure Blockchain Workbench Upgrade

何ができるのか

Azure Blockchain Workbenchには多くの機能が搭載されていますが、簡単に言うと以下のようなことができます。

  • ブロックチェーンアプリケーションの作成
  • Azure ADを利用した、アプリケーションとユーザーの管理
  • ブロックチェーンとアプリケーションの統合
  • ブロックチェーンネットワークへのデプロイ
  • オンチェーンデータとオフチェーンストレージの同期

また、以下の3つのブロックチェーン環境が作成できます。

  • Ethreum
  • Hyperledger Fabric
  • Corda

ユースケース

実際にAzure Blockchain Workbenchのユースケースではどんなものがあるのでしょうか。一例をご紹介します。

Nasdaq
株式市場であるNasdaq(ナスダック)は、エンタープライズサービスを再設計し、 Nasdaq Financial Framework (NFF)を開発しました。NFFは企業向けに新興テクノロジーの利点を活用した幅広いビジネス・アプリケーション・ポートフォリオを提供するフレームワークです。ブロックチェーンの機能強化のため、 NFFはMicrosoft Azure Blockchain と統合して、多様な台帳をサポートする、既存の台帳に依存しないブロックチェーン機能の構築を進めています。

3M
世界的な化学/電気素材メーカーである3Mでは、新しいサプライチェーンのエコシステム開発のため、データ共有サービスと不正開封がわかるスマートラベルの開発を行いました。このサービスによりコストの削減とカスタマーのセキュリティ向上を実現しました。

Azure Blockchan Workbenchを利用したユースケースの詳細や、そのほかのブロックチェーンの活用事例については以下の記事にまとまっています。

アーキテクチャ

上記のデモページでもご紹介していますが、Azure Blockchain Workbenchのアーキテクチャは以下のようになります。

https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/blockchain/workbench/architecture

拡張機能 : Azure Blockchain Development Kit について

Azure Blockchain Workbenchには「Azure Blockchain Development Kit」という拡張機能があります。キー管理、オフチェーンの ID とデータ、監視、メッセージング API の各 Azure サービスを 1 つのリファレンス アーキテクチャに統合することが可能。Azure Blockchain Development Kitの利用によって、さらに素早くブロックチェーンアプリケーションを構築できるようになります。

以下の記事では、Azure Blockchain Serviceの利用ではありますが、実際に Development Kitを利用して構築するまでの流れを紹介しています。

その他、リンクまとめ

Blockchain Workbench プレビュー
Azure Blockchain Workbench Upgrade
Azure Blockchain Development Kit のご紹介

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