ConsenSysはMetaMaskとInfuraでWeb3.0の世界を実現させる|ConsenSys Japan垣谷昌孝|インタビュー

ConsenSysはMetaMaskとInfuraでWeb3.0の世界を実現させる|ConsenSys Japan垣谷昌孝|インタビュー

はじめに

ブロックチェーンメディア「BaaS info!!」(バース・インフォ)では、ブロックチェーン業界で活躍する方々へのインタビュー記事を不定期で掲載しています。

※過去のインタビューはこちら

今回のゲストは「MetaMask」や「Infura」など、Web3.0アプリケーションを構築する際のデファクトスタンダードなツールセット、インフラなどを提供するConsenSysの日本リージョンを担当する垣谷昌孝さんです。ブロックチェーン業界において初期から開発者や起業家、ユーザーに対して価値提供をし続け、Web3.0のエコシステムをサポートする同社のビジョンについて伺いました。

プロフィール
垣谷昌孝さん

ConsenSys Japan Strategic Sales Director
ING生命保険(現:NN生命保険)でキャリアを始め、その後ICAPでFXブローカーの道に進む。ヘッジファンドのセールスマネージャーの経験を持ち、ICE(Intercontinental Exchange-SuperD)の日本オペレーションの運営を指揮した後、Murex社で大手銀行/証券会社向けにリスク管理システムの販売に着手。直近では、オラクル社で金融機関向けの基幹システムを推進、暗号通貨に特化したファンドなど立ち上げ、ブロックチェーン市場の更なる探究心を追求し、ConsenSys社に入社。
慶應義塾大学経済学部卒業。

ConsenSysは今後もイーサリアムを支え続け、Web3.0の世界を実現させていく

本日はよろしくお願いします!最初にConsenSysの事業と、垣谷さんの仕事内容についても簡単に教えてください。

最初に私の自己紹介をします。ConsenSysに入社したのは、実は2021年11月末付なので数ヶ月しか経っていません。

私はOracle社という大手企業で仕事していたのですが、もう少し刺激的な仕事がしたいと思っていたところで、かつてご縁のあったConsenSysにポジションの空きがあり、入社した次第です。

私のバックグランドは、金融業界でデリバティブやキャピタルマーケット向けのリスク管理システム等に携わり、また実際に銀行や取引所にもいた経験があります。一通りの金融には携わってきました。

ConsenSys社自体も非常に金融に強く、創業者であるジョセフ・ルービン(愛称ジョー)もゴールドマン・サックス出身です。業界全体は今、証券会社がやろうとしているSTO(Security Token Offering)のようなセキュリティートークン、デジタルアセット、デジタルトークンの取り組みに積極的ですし、今後、この分野がしっかり規制され法整備がなされると、より活性化されると思います。ConsenSysには金融の専門家が多いですね。

現在はそういう流れなんだろうと思います。

Web3.0で大事なのはSelf-Sovereign Identity(SSI)

アメリカで特にConsenSysさんが金融業界に強いのは有名なお話ですが、グローバルに展開している金融関連の事業内容について詳しく伺えますか。

若干、私の主観や私見が入ると思いますが、(インタビューを受けるにあたって)マーケティングチームとも連携を図っているので、単なる私見という訳ではないことを最初にお断りしておきます。

元々やはり分散型アプリケーション(DApps)開発を得意としていたので、いまConsenSysが向かっている方向は、DAppsの分野において新たなフェーズへと進むことです。特に、Web3.0に向けたユニバーサルな部分の強化には取り組んでいきたいと思っています。

具体的には、老若男女が本当に使えるようなユーザーフレンドリーでユニバーサルな、Web3.0へのアクセスを可能とするインフラの構築に努めていきます。そして、その主軸になるのがMetaMaskです。

MetaMaskは、今、2100万人ぐらいの月間アクティブユーザーがいます。また、何かしらアカウント、アドレスでトークンを動かしている人が約4000万~5000万人いる中で、昨年の6月から毎月30%、40%の伸び率を記録しています。

弊社はMetaMaskを柱にして、これを持っていればゲートウェイという形でいろいろなWeb3.0のサービス、アプリケーションに繋げられる世界を目指しています。

MetaMaskの強みは、拡張性の高いAPIです。また(外部サービスとの)Compatiblity(

互換性)により、いろいろなDAppsとの接続性が担保されます。ブリッジングしかり、スワップ機能しかり、そういったDeFi関連事業や、最近注目されているNFTなどのように、ウォレットが必要となるサービスにもすべて対応していきます。

その上で、Web3.0に向けた取り組みで大事なのは、Self-Sovereign Identity(SSI)という考え方です。日本語では自己主権型アイデンティティ(ID)と訳されます。SSIというのは、非常に大切だと思っております。

自己主権型アイデンティティの基本的コンセプトは、簡単にいうとアイデンティティの所有権をユーザー側に取り戻そうというものです。その技術要素として、Decentralized identifier(DID)などがあります。

従来のWeb2.0では、基本的にアイデンティティは中央集権的な管理で、我々のアイデンティティは完全に、いわゆるGAFAなどに代表される大手企業の管理下にありました。そのため、インターネットにおける我々の行動やあらゆるデータが中央集権に勝手に利用され、マーケティングの商品になってしまいました。

そういった軋轢(あつれき)をなくすことがWeb3.0の目的の一つです。SSI、DIDによって自分自身のアイデンティティを取り戻し、非中央集権的に自らコントロールしていく世界がWeb3.0の世界です。そのとき、MetaMaskは何ができるかというと、自分でどのデータをどういう業者に出すのかということを、自己主権的に選択することが可能になります。

ConsenSysはそうした観点から、Web3.0に向けてMetaMaskを含め、DeFiアプリケーションの世界を今後も開拓していきます。

その上で、従来どおりプライベートおよびパブリックのブロックチェーン技術の展開も継続していきます。

具体的には、現在イーサリアムにおいても、メインネットやセカンドレイヤー技術等において、様々なアプリケーションが動いています。こうした従来のアプリケーションレイヤーやAPIレイヤーが、Web3.0やイーサリアム2.0の時代に突入し、新しいフェーズに入ったときに問題なく稼働するのか、また場合によってはインフラのメンテナンスが必要になるでしょうから、こうしたインフラを安定的に稼働させて運営を継続できるように新たにインフラを構築していくことも、ConsenSysのミッションの一つです。

ConsenSysでは新しいフェーズに対して、MetaMaskとInfura(インフューラ)の二つの商品で対応していきます。Infuraは、API as a Serviceという形で様々なアプリケーションとブロックチェーンをつなげる、いわゆるバックエンドです。またInfuraにはIPFS(分散型ストレージサービス)に迅速に接続できる技術も含まれています。

ConsenSysは、MetaMaskとInfuraのセットとコミュニティを活用し、Web3.0に向けて利便性を向上させたとユーザーフレンドリーなアプリケーションの実現を目指します。

ちなみにオープンソースのInfuraは、現時点で40万人ぐらいのデベロッパーがすでに利用しています。Infuraはコミュニティも盛んですが、さらにサポート体制を強化し、今後は24時間体制で対応していきたいと思っています。

─ConsenSysは、元々イーサリアムの普及を支援するために、MetaMaskなどを開発されてきたと思いますが、その基本コンセプトは変わらず、今後もInfuraとMetaMaskも含めてイーサリアムをサポートしていくのでしょうか。

そうですね。イーサリアムのサポートは続けていきます。ConsenSysの代表であるジョーが、イーサリアムの共同創設者の1人ということもあり、プロトコルについては、彼はトップクラスの知見を持っています。

また、ConsenSysがイーサリアムに着目しているのは、スマートコントラクトです。ブロックチェーン領域におけるDeFiやNFTなど価値あるテクノロジーを生み出し続けているのは、イーサリアムのスマートコントラクトです。

この分野には様々なプロトコルがあり、今もプロトコル戦争が続いているとは思います。それぞれトランザクション処理能力やスケーラビリティ、手数料などの優位性で差別化が図れてはいるものの、やはりスマートコントラクトのメインは元祖のイーサリアムです。多くのユーザーさんに受け入れられていますし、NFTもDeFiなどすべてを鑑みると、トランザクションボリュームで見ても、ユーザー数で見てもイーサリアムが勝っています。

今後はイーサリアム2.0にて、スケーラビリティ等は改善されます。DAOというコンセプトもありますし、そういった仕掛けをもとに、ユーザーがより非中央集権化された取り組みや環境作りがしやすくなるようお手伝いするために、ConsenSysは引き続きイーサリアムをサポートしていきます。

しかし、これからのブロックチェーン領域は、優位性の高いプロトコルが単独で進化し続けるような世界ではありません。キーワードはインターオペラビリティです。異なるブロックチェーン間も親和性をもってブリッジングするなど、どのプロトコルも高い接続性が求められる時代です。

ウォレットも一つのプロトコルベースのものでは、限られたチェーンだけでしかやり取りができません。これでは使い勝手が悪いウォレットに分類されてしまうでしょう。ConsenSysの考えは、全体の底上げです。MetaMaskに関してもCompatiblity(互換性)を重視して開発していきます。また、Infuraもまさしくレイヤー2といわれるArbitrumやOptimism、Polygonともつなげられる世界を用意しています。

つまり、ConsenSysはイーサリアムをサポートしますが、イーサリアムに特化しているというわけでもありません。

エンタープライズ向けの分野は今後Quorum Blockchain Service(QBS)が担う

─ConsenSysはエンタープライズ向けの商品もいくつか出されています。これまでPegaSysやPegaSys Plusという商品があったと思いますが、今のQuorumとは違いがあるのでしょうか。

元々のPegaSys Plusというのは、企業向けのイーサリアムブロックチェーン基盤です。企業ユースに必要な信頼性、使いやすさ、セキュリティを備えています。企業が開発しやすいように、パブリックとプライベートブロックチェーンの両方に対応しています。PoWも可能、PoAも可能というブロックチェーンです。

マネージドサービスであるQuorum Blockchain Service(QBS)はBlockchain as a Service(BaaS)商品で、元々JPモルガンによってオープンソースソフトウェアとして開発されていたブロックチェーンQuorum(現GoQuorum)に基づいて構築されています。 Quorumもまた、イーサリアムをベースとした企業向けスマートコントラクトプラットフォームで、2020年に弊社が買収しました。承認された参加者のみがノード管理者となれるコンソーシアムチェーンで、数種類のコンセンサスアルゴリズムから用途に合わせてアルゴリズムを選択することができます。

また、Quorum Blockchain Service(QBS)の前身に、マイクロソフトが提供していたサービスAzure Blockchain Service(ABS)がありました。ABSは、JPモルガンとマイクロソフトが提携し、2019年5月に提供を開始した、Quorum(現GoQuorum)によるBaaSサービスですが、2021年9月に終了しました。そのサービスを、Quorum Blockchain Service(QBS)が引き継いでいます。

一方、QBS以前に弊社が提供していたエンタープライズ向けイーサリアムブロックチェーン商品がPegaSys Plusです。QBSもPegaSys Plusもエンタープライズ向けイーサリアムという意味では一緒ですが、それぞれ発祥とカスタマイゼーションが異なるというようなイメージです。

今、Quorumも含めて御社が提供しているCodefiやQuorum系のエンタープライズ向けフレームワークのセットなど、そうした商品のサポートを受けようと思ったときは、ConsenSysさんの英語版のページからコンタクトしてくださいとなっていると思うのですけれど、日本の法人が日本でサポートを受けたいと思ったときには、どちらにご相談すればいいんでしょうか。

現時点のクエリでしたりSLA(サービス品質保証)のサポートに関しては、残念ながら英語対応しかありません。日本の窓口は現状、営業セールス的な役割です。我々テックチームやデベロッパー、エンジニア、ソリューションアーキテクト、より技術に近い人間というのは、アジア時間の然るべきリージョンで必ず担当がいるんですが、残念ながら日本語対応というのが、まだ確約できない状況です。

ですがシンガポール、香港は、間違いなくアジア時間でフル稼働していますので、サイトからお問い合わせいただければ、社内で共有しているCRMのシステムとも連携していますので、チケットのようなものが飛んでくるので、近いリージョンの担当が必ず見ています。基本は英語になってしまいますが、私も見られる環境にいるので、可能な限り日本語対応もさせていただきます。

フルとはいえないのですが、できる限りの日本語のサポートはさせていただいておりますし、基本的には24時間サポートがいるので、いつでも日本からのご質問も可能です。

Web3.0へ向けた具体的なビジョン

─ありがとうございます。では、またWeb3.0のお話に戻させていただきますが、Web3.0はバズワードとして盛り上がっています。具体的なビジョンが見えている人が少ない中で、先ほどのお話でConsenSysさんは確実に前進しているという印象を受けました。
以前、御社のブログで読んだことがあるのですが、御社が開発するMetaMask Flaskやその中のMetaMask SnapsがまさにWeb3.0へとつながる技術なのかなと思うのですが、具体的にWeb3.0にはどのようにつながっていくのか伺えますか。

これについては私の私見、主観で回答させていただく形になります。。

冒頭にも説明した通り、Self-Sovereign Identity(SSI)、自己主権型アイデンティティが、Web3.0の根本です。そこを目指して、いろいろなアプリケーション、いろいろな非中央集権型プロジェクトが発生するなど、そういったコミュニティで、自分でオーナーシップを持って、主権で何かしらコントロールして動かしていくのが、たぶんWeb3.0の世界ですよね。

その中でMetaMaskはどういう位置にいるかというと、例えば金融機関の話であれば、後進国で銀行口座が開設できない人がいます。しかし、スマートフォンは持っている。スマートフォンがあれば、MetaMaskアプリを無料でダウンロードできます。

わずかな資金しかないですけれど、ゲームが好きだからNFTによるPlay-to-Earnという遊びながら稼ぐことができるスタイルのゲームで、コレクティブルなNFTを収集します。これをどう保管しようといったときに、もちろんMetaMaskアプリで保管することができます。

銀行口座が無くても、手に入れたコレクティブルNFTをステーキングできるサービスには(MetaMask経由で)つなげられます。そこで、金利が1%、2%程度付きますと。それが一年後に金利が付いて、ある程度お金が貯まりましたということになったら、今度は投資もできるようになります。

MetaMaskを持つことによって、ステップを踏めば新たなDeFiへとつながることができます。急に世界が広がっていくということになるでしょう。キーワードはゲートウェイなのですが、MetaMaskがゲートウェイになって、結果、視野が広がって、世界観が広がっていくことになる世界がWeb3.0ですね。

通常ですと、レギュレーションのあるリージョンの中にいて自分の信用力を上げるのは難しいです。銀行口座も開設できなかったわけですから。しかし、MetaMaskを持つことで、フリーというわけではないですけれど、自分主導で市場に入れて、開拓できて、新たなWeb3.0のサービスが出てきたときにも、築き上げてきた自分の信用力ですべてに接続できるという環境は、今のところMetaMaskしかないと思っています。

そういう切り口というか、新しいゲートウェイの一つとしてMetaMaskは使えると思います。ここに様々な情報が入ってくると、MetaMaskは自分のアイデンティティ+パスポートというような形で、全世界へと持って行き、使えるわけですよね。

自分というアイデンティティにはアカウントが紐づいているので、そこで将来的には例えば金融機関が持っているような個人情報の口座残高なども管理できるなど、自分でそういったデータや情報の主導権を、MetaMask一つで持てることになります。

世界が変わる、人生観が変わるというと、少し大げさですけれど、それに近いポジショニングになると思います。私が思うには、結構そこのインパクトは強いと思っています。MetaMaskは単なるウォレットであるとみなさん勘違いすると思いますが、そのウォレットから様々な世界につながることができるようになると思います。

ゲーマーは暗号通貨なんて関係ないと思うかもしれませんが、例えばメタバースの世界でMetaMaskをつなげてゲームをやっていたら、急によくわからないけれど、レッドブルのNFTがウォレットに増えたんだよね。これなんか、マーケットプレイスにつなげてみたら、すごく値上がりしてるじゃんとか、それを売りたいなと思ったときにすぐに市場にアクセスできて、取引もできてしまう。MetaMask一つで全てのアプリケーションに接続できるのはやはり強いと思いますし、アプリケーションが多様化すればするほど、ゲートウェイの役割を担うMetaMaskは、非常にパワフルなメッセージ性のあるツールになり得ると思います。

─Web2.0ではMetaMaskはイーサリアムのウォレットというとインターフェースのような役割だったんですけれど、Web3.0でのMetaMaskの役割はゲートウェイということで、ハブになるようなイメージですかね。

そうです。そういうポジショニングを確立したいというのは、間違いないですね。ゲートウェイとハブですね。ハブであるMetaMaskを使うことによって様々なゲートウェイになるという形ですね。

─MetaMaskが価値を仲介することもできるし、保存することもできるということですね。

例えばですが、OpenSeaのような成熟し始めているマーケットプレイスも登場しているので、そこで値が付くNFTであれば、NFTを担保にできるようになると思います。発展途上国などの金融機関で、MetaMaskを出して値の付いたNFTを見せることで、それに市場価値があることがわかればNFTアートを担保として融資が受けられる時代がくると思います。

口座を作ることが難しかった人でも、それを信用力として口座を開設できるかもしれないですよね。

やはりデジタルパスポートのような意味合いも出てきますし、そういったウォレットを超えた使用方法は間違いなくありますし、NFTがまさしくそういうものを実現させるツールになると思っています。

そうなると単なるウォレットではなくFATF勧告のトラベルルールの対象にもなる時代が来そうですね。今、心配することではないかもしれませんが。

そうそう、そうなんですよね(笑)。あくまでもMetaMaskの可能性として、そうなるというお話です。

しかしWeb3.0が普及することによって、いい意味で規制の網がかかってきますし、そういうトラベルルールも然りですけれど、当局が何かスタンダードの中にデファクトのフレームワークやルールを設定してくれれば、それに沿って私たちもアダプトしていくような体制は必要だと思っています。

まだ、Web3.0っていうのが本当に実現するかどうかという段階の議論もありますが、我々は実現する将来を目指してWeb3.0の形を考えているので、MetaMaskとInfuraの二つを担いで必ず実現させていきたいと思います。

ありがとうございます。すごいいいお話ですし、本当に具体的にWeb3.0を目指せるところがどこなのだろうと思ったときに、概念的なお話はよく聞くのですが、なかなか具体的なものがないので、今伺った話は重要だなと思いました。

補足しておくと、この話の内容はConsensysの見解という訳ではなく、僕の主観も入っています。

はい、理解しています。しかし、逆に言えば、そこの立ち位置に入れるツールというかハブになるものとして最も近いところにいるは、MetaMaskだなと読者目線からもそれが感じられるお話だと思います。さらに思うのは、ConsenSysさんの事業が発展していくことによって、いろいろなライセンスも取らないといけないし、いろいろなことをやっていかないといけない大変なところを目指していらっしゃると思いました。

そうですね、ライセンスは致し方ないと思っていますし、やはりそれを実現するには、規制をクリアしていかないといけないので、そこを一つ一つ、しかるべき当局と話し合って、今後の課題として解決していきたいと思います。まさしく今、こういったレギュラトリー・フレームワークとか、法律の部分とか、やって良いこととやってはだめなことをWeb3.0に向けて必要最低限のものは、まずは当局の規制を遵守できるようなものを達成していきましょうと力を入れて議論もしていますし、忘れていないですね。

法務の部分は、既に人員を確保していますし、より強化を図るために本気で取り組んでいます。

もう一歩手前のお話で、今のInfuraやMetaMaskは次のステップとして具体的にどう進むのでしょうか。

DeFiとかNFTとかそういうプロジェクトやアプリケーションが、すべてWeb3.0のカテゴリに入るのであれば、まさしく今、立ち上げ中のプロジェクトや、ある程度成熟しているDeFiやNFTのプロジェクトに対して技術支援をしているというのがありますが、その中で、目玉となる主力の商品がInfuraですね。

今、いろいろなプロトコルが戦って覇権争いを行っている中で、多くのプロトコルがコミュニティを作りたがり、エコシステムを作りたがります。

しかし、我々は今後よりインターオペラビリティを高めることが重要と思っています。

我々は逆に、PoA(Proof of Authority)のプライベートチェーンとメインネットをつなぎたいとか、ERC-20トークンと全然違うトークンとをブリッジングさせたいとか、どうやって効率的に開発をすればいいかとか、そういう詳細化された技術のクエリを元にアドバイザリーを引き続きさせてもらっています。

Infuraというのは、ブロックチェーンと対話をしながら何かを解決するためのツールですので、それを使用してWeb3.0に向けて同じベクトルを向いて会社さんに対して技術サポートもしていきたいと思います。

ブロックチェーンはメンテナンスも必要ですし、自分たちだけでノード管理をしていたら非常に体力、労力、費用がかかりますよね。これを第三者の私たちがノードの管理もお手伝いすることが可能です。

Infuraコミュニティには現在、約40万人規模のデベロッパーが参加していますが、Infuraをベースに、ここはこういうふうにつなぎ込みしましょうとか、セキュリティ問題であればここをこう改善しましょうといった意見交換ができるコミュニティにしていきたいと思います。デベロッパーが知見や知識を共有しあって、みんなでいいInfuraを育てていくようなコミュニティを形成していきます。

Web3.0に向けて、みんなで安全な安定したブロックチェーンの運用と構築を目指すために、ConsenSysは支えとなることに努めたいと思います。

ConsenSysは年内400人規模の増員予定

最後の質問は、今後、ConsenSysさんが展開していくサービスについて、宣伝でもかまいませんのでお伺いしたいと思います

現時点で、少しこの数字も正確ではないのですが、ConsenSysの社員は今約700人ですが、年内約400人を増員する予定です。

その理由は、イーサリアム2.0ですね。2.0に向けて技術者というか、リサーチャーのような人たちや、それをサポートできる顧客チーム、プロダクトチーム、弊社にはHyperledger Besuもありますし、Tekuという新しい取り組みもあります。イーサリアム2.0の新しいコンセンサスアルゴリズムPoS(Proof of Stake)に変わったときに、それに対応できる人員、サービス、ソリューションを完備していますし、今後も支援し続ける会社になっていきます。

あとはバズワードで自民党も成長戦略として位置づけたNFTに関しても、アクセラレーションといいますか、ブランドとの提携や様々な機能を兼ね備えてNFTのアダブションを増やすというのも、一つのアジェンダとしてあります。

やはり今後MetaMaskも、Gnosis Safeとタイアップしたり、MyCryptoを買収したりして、いろいろとUI/UXが指摘されている中で、より強化していくことと、カスタマーサポート強化も含め、新しい機能も追加しますし、アプリでしかできなかったNFTの表示をブラウザ版でも対応したりなど、こういった細かい機能改善を行っています。

我々は、BtoBに特化したインフラの構築も行っています。企業に対して、MetaMaskもInstitutional(MMI)という商品も出しています。MMIは機関投資家向けとしてコンプライアンス機能や、レポーティング機能、リスク管理などが備わっており、なおかつサードパーティとつながるカストディソリューションや第三者機関による信託も可能なソリューションです。

今後も開発に向けて、よりいいものを作っていきたく、Web3.0に向けたワンストップショップを描いておりますので、引き続きWeb3.0に共感して、その実現を信じている人たちや企業さんに対して全面的にご支援していきます、というのが私たちのポジションだと思っています。

ありがとうございました

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