本サイトのメインテーマの一つであるBaaS(バース)ですが、 〇aaS系がたくさんあってわからない!という方に向けて「BaaSとは何か」を、定番のもの(SaaSやPaaS等)と比較しながら簡単に振り返ってみます。
結論:BaaSとは
BaaS(バース / Blockchain as a Service)
BaaSの定義は、使う側によってさまざまですが、本サイトではブロックチェーン(アプリ)開発を容易にするためのクラウドで提供されるサービス をBaaSと呼んでいます。
SaaS, PaaS, IaaSと並べてみてみる
Googleで「BaaS」と検索すると Backend as a Service と出てきますが、ここで取り上げるブロックチェーンのBaaSとは全く別のものとなります。
余談ですが、なんと〇aaS系はAからZまであるらしいです。
SaaS, PaaS, IaaSは下記を参考にしてください。
種類 | 正式名称 | 概要 |
SaaS (サース) | Software as a Service | Gmailなどのクラウドで提供されるソフトウェア |
PaaS (パース) | Platform as a Service | アプリ開発のために、OSや開発環境、データベースなどの基盤を提供 |
IaaS (アイアース) | Infrastructure as a Service | ネットワークやストレージなどのインフラを提供。PaaSに加え、 OSやミドルウェアも自由に構築が可能だが、要求知識レベルが高い |
BaaS (バース) | Blockchain as a Service | クラウドで簡単にブロックチェーンのサービスを構築できるもの。 サービスによって異なるが上記の中ではPaaSに近い位置にある |
BaaSのメリットと解決する課題
BaaSの利用メリットは、簡単に言うと「ブロックチェーンアプリ開発が楽になる」点にあります。
ゼロからブロックチェーンアプリケーションを開発するためには、例えば以下のような作業が必要になります。
- コンソーシアムネットワークの構築
- フェデレーション
- キーの管理
- APIの管理
- スマートコントラクトの参照データ保管
- チェーン外のDBとのデータ同期
- メッセージやイベントの取り込み
- 署名・ハッシュ・ルーティングの調整
- etc..
これらは、確かに必要な作業なのですが、サービスを新しく作るためには
・どのように顧客にメリット生むか
・どのように展開してくのか
・ユーザーが使いやすいUI/UXは何か
等のビジネスロジックに注力する方がより重要になってきます。
ネットワークの構築などの作業ばかりに時間を取られていると、本質的なビジネスロジックにフォーカスするための貴重な時間が削られることになります。
BaaSを利用することで、ブロックチェーンの構築に必要な煩雑作業の短縮を行い、より良いサービス展開のためのコアな部分に注力することが可能となります。単純な開発工数削減ではない点がポイントです。
BaaSの利用シーン
上記のようなメリットがあることから、主にソフトウェア、Fintech、および物流業界で利用されています。
「透明性、効率性、コストをはじめとする複雑な問題をシンプルに解決できる」という理由で、最近大きな注目を集めていますが、エンタープライズ利用が広まってきたことも相まって、だんだんとポピュラーな存在になってきました。
そもそもブロックチェーンってどんな事例があるの?という方、下記の記事にリンクをまとめていますので、是非参考にしてください。
▼詳細情報はこちら
【まずはココ!】ブロックチェーン活用事例のまとめページ
BaaSプロバイダー 10社
BaaSのプロバイダーはどんな会社があるのか、スタートアップを除いた大手企業が提供するBaaSをリストにしました。
数が多くて、何を選んだらわからない!という方に向けて、下記で比較記事も書いています。
▼詳細情報
【比較】BaaSを比較したい人向け~Azure vs AWS vs IBM
Amazon
Alibaba(アリババ)
▼関連記事
Alibabaはブロックチェーン領域でどんな取り組みをしているのか
Baidu(百度)
HPE(Hewlett Packard Enterprise)
IBM
Huawei
Microsoft
▼関連記事
「Azure Blockchain Tokens」トークン発行・管理機能とは?
Corda Enterprise対応!Azure Blockchain Serviceのアップデート概要
Oracle
SAP
Tencent(テンセント)
▼関連記事
テンセント(Tencent)はブロックチェーン領域においてどんな取り組みをしているのか
さいごに
Blockchain as a Serviceの登場により、ブロックチェーン開発の敷居は圧倒的イ低くなります。実際に開発してみるとわかるのですが、例えばHyperledger Fabricなどは、ネットワークを一から構築しようとすると、ドキュメントを睨みながら作ろうとするサービスの本質”以外”の部分に大きく時間を取られてしまいます。もちろん、最初から悩みながら進めていく事は、理解をする上でも重要な工程にはなるかと思います。ですが、既に簡単に構築できる土台が提供され、その整備が着々と進んでいる中、BaaSを使うのは賢い手段になり得ます。