MicrosoftがBuild2019にてブロックチェーンの最新の取り組みを複数発表

MicrosoftがBuild2019にてブロックチェーンの最新の取り組みを複数発表

Microsoftは、5/6-8に実施された開発者向けイベントであるBuild 2019にて、BaaSを含むブロックチェーンに関する最新の取り組みについて、複数の発表を行いました。発表された内容は、クラウドを活用した導入ハードルの軽減や、開発者コミニュティとの連携強化といった、ブロックチェーンをエンタープライズに広く普及させるための取り組みとして見て取れます。今回は、ビジネスサイド、開発サイドにとって関連のある4つのトピックについて簡単に紹介します。

Azure blockchain serviceのリリース

Microsoftはこれまでも、本サイトでも紹介しているAzure Blockchain Workbenchなど 、エンタープライズにおけるブロックチェーンアプリケーションの作成をサポートするサービスを展開してきました 。今回発表されたAzure blockchain serviceは、その方向性をより強化するものとなります。

Azure Blockchain Workbenchについて:Microsoftのブロックチェーンクラウドサービス「Azure Blockchain Workbench」と利用例

Azure blockchain service とは、エンタープライズでの需要が高まっているコンソーシアム型のブロックチェーンの構築や管理を容易にする、フルマネージド型のブロックチェーンサービスです。これにより開発に関する手間を従来よりも削減でき、より多くの時間をビジネスロジックやアプリケーションの開発にさくことができるようになります。

具体的には、開発者はAzureの管理画面で数回のクリックをするだけで、許可制のコンソーシアム型ブロックチェーンの構築や、コンソーシアムのポリシー管理といったことが可能になります。また、Azure Active Directoryとの統合により、新規メンバーの追加やパーミッション管理も容易に行えるようになります。

Azure blockchain serviceに関連する話題として、エンタープライズにおけるブロックチェーン活用の推進を目的とした、MicrosoftとJPモルガンとの戦略的パートナーシップが紹介されました。この中で、JPモルガンが開発を進めてきた、EthereumをベースとしたブロックチェーンプラットフォームであるQuorumが、Azure blockchain serviceが提供するはじめてのプラットフォームとして採用されたことが紹介されました。

Quorumはオープンソースであり、最大規模のブロックチェーン開発コミュニティを有しているため、今後の開発において、豊富なオープンソースのツールを活用できるといったメリットがあります。

参考情報:

Azure Blockchain Development Kit for Ethereumのリリース

開発者向けの話題としては、Visual Studio Code (以下VS code) の拡張機能として、“Azure Blockchain Development Kit for Ethereum”のリリースが発表されました。ブロックチェーンネットワークの構築は、Azure Blockchain Serviceのリリースにより容易になりますが、スマートコントラクトの開発は、複数のコマンドラインツールが必要であったり、IDEの統合が限定的であったりと、従来のままでは開発効率に問題がありました。今回発表されたVS codeの拡張機能を用いることで、Ethereumによるスマートコントラクトの開発やコンパイル、ブロックチェーンネットワークへのデプロイ、Azure DevOpsによるチームでのコード管理といったことが容易になり、開発効率の改善が期待されます。

また、このVS codeの拡張は、Azure Blockchain Serviceを用いない(SolidityやTruffleによる)一般のEthereumアプリケーションの開発にも利用できます。さらに利用環境としては、ローカルの開発環境ではWindowsとmacOSの両OS、Azureの仮想マシン上では“Visual Studio 2019 VM in Azure”として利用可能となっているため、幅広い開発環境で利用できるようになっています。

参考情報:

Azureを用いたブロックチェーンアプリケーション開発

ブロックチェーンアプリケーションを開発するには、「ブロックチェーンネットワークの構築や管理」、「スマートコントラクトの実装」、「(Web/モバイル等の)アプリケーションの開発」、といった複数レイヤーの開発をマネジメントする必要があります。

これまでリリースされたAzureのサービスを整理すると、この複数レイヤーにおける開発をシームレスにし、一見ハードルの高いブロックチェーンアプリケーション開発を、大きくサポートしてくれるものと言えます。

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スターバックスにおけるブロックチェーン活用事例の紹介

スターバックスでの最新テクノロジーを活用した顧客体験の取り組みの一つとして、Azure Blockchain Serviceを活用したコーヒー豆のトレーサビリティが紹介されました。農場から出荷されたコーヒー豆は、配送業者などのサプライチェーン上の各プレーヤーを経由し最終消費者に届きます。このとき、Azure上で共有されたブロックチェーン上に、各々の取引日時やフェアトレード状況が記録されます。これにより、履歴情報を一元的にトレースできるようになるとともに、消費者は、モバイルアプリで一連の履歴を確認できる仕組みになっています。

コーヒー豆の生産農場から最終消費者までの全体フローと、アーキテクチャーの構成は以下のようになっています (引用元:https://tech-blog.cloud-config.jp/2019-05-17-starbucks-tracing-service-using-azure-blockchain/)。

一般的には消費者のメリットで語られることが多いトレーサビリティですが、スターバックスでの取り組みは、生産者のメリットについても強調して触れられています。これは、フェアトレードとして知られているように、コーヒー豆の生産は、生産者への配慮が重要な問題となっているためです。

トレーサビリティにより取引の透明性を向上することで、消費者の生産者への意識を高められ、また、生産者が不当な立場になっていないかといったことの検証が可能になり、フェアトレードを推進することが期待できます。

スターバックスによるブロックチェーンの活用事例は、消費者の顧客体験の向上に加え、生産者に対するフェアトレードの実現といった異なる側面を持っており、今後ブロックチェーンに取り組む際の参考事例になるのではないでしょうか。

参考情報:

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CTA-IMAGE BaaS(Blockchain as a Service)を提供する各社(Microsoft、IBM、Amazon、Oracle、Alibaba)の動向をまとめました。BaaSを選ぶときのポイントもまとめていますので、ぜひご活用ください。

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