NFT×巨大コミュニティの注目事例:NBA Top Shotとは?

NFT×巨大コミュニティの注目事例:NBA Top Shotとは?

はじめに

「NBA Top Shot」とは、デジタルカード化されたNBA選手とその名シーンを集めるコレクションゲームです。NBA(National Basketball Association)は世界に多くのファンを抱えるプロバスケットボールリーグであり、日本の八村塁選手などが所属しています。

デジタルカードはすべてNFT(Non-Fungible Token)として発行されているので、データであるにも拘らずカードがそれぞれ唯一性を持っています。

NBA Top Shotはオープンβ版ですが、すでに4億2,200万ドル(約458億円)もの売上げを記録した上、ユーザー数も33万を超えました。これはブロックチェーンゲームとしては世界でトップの数値です(2021年3月23日現在。ユーザー数はカードの保有アドレスで計算)。

https://www.cryptoslam.io/

NBA Top ShotはNFTを活用したサービスの成功例と考えられます。そこで本記事ではNBA Top Shotについて紹介していきます。

NBA Top Shotとは?

冒頭でも紹介した通り、NBA Top ShotはNBAの選手(プレー動画)を取引・収集できるデジタルカード(コレクションゲーム)です。NBA Top Shotの事業自体は、NBAとNBAの選手労働組合、ブロックチェーンベンチャーの「Dapper Labs」から成る合弁事業によって運営されています。

デジタルカードにNFTを活用

NBA Top Shotではバスケットボールの名プレーとセット、シリアル番号をまとめて「モーメント」と呼称され、ブロックチェーン上で発行されたNFTとして販売されています。

https://www.nbatopshot.com/search?orderBy=GAME_DATE_DESC

NFTを活用することで、デジタルコンテンツにおいて課題となっていたデータ(カード)の偽造や複製を防止できます(データの所有者を検証し、明らかにできるため、動画などの情報を複製しても“所有”という観点からは意味がない)。

NFT(Non-Fungible Token)についての詳しい説明は、以下の記事をご覧ください。

▼詳細はこちら
NFT(Non-Fungible Token)とは?基本と活用事例を解説

電子データの希少性を表現できることもあり、NBAのスタープレイヤーであるレブロン・ジェームスのカードが約20万ドル(約2100万円)で販売されるなど高額取引も見られます。また、2021年2月25日には、アメリカのスポーツ関連番組「SportsNation」でNBA Top Shotが取り上げられました

なお、Googleトレンドで見ると2021年初頭から注目されはじめ、2月中盤から一気に注目が集まったと考えられます。

Googleトレンドより

NBA Top Shotについては公式YouTubeチャンネルで、分かりやすく解説されています。(英語音声のみ)

NBA Top Shotの販売プロセス

NBA Top Shotの販売の仕組みを紹介していきましょう。まずNBA側がダンクショットなどの名場面をハイライトとして、カード仕様にカットします。

次に販売を手掛けるDapper Labsが各ハイライトの数を決定し、それぞれのカードに番号を振っていきます。各カードはNFTであるため、対応するウォレットで管理されており、売買や譲渡を行うには適切なプライベート鍵(所有者しか知らない暗号鍵)が無ければなりません。

その後の販売方法は、物理的なトレーディングカードと同じです。

カードの内容は、購入するまで分からないパック仕様となっています。カードパックはNBA Top Shotウェブサイトで9ドルから230ドルの範囲で販売され、価格帯はハイライトの品質やプレーヤーのスターダムレベル、カードの希少性により変動していきます(他の多くのカードゲームと同様にレアリティがあり、「レジェンダリ」「レア」「コモン」に分かれています)。

加えてNBA Top Shotでは、運営側が提示したカードをすべて収集すると新たなカードが獲得できるイベントを不定期に開催しています。カードを集めるインセンティブが組み込まれているのです。

なお、NBA Top Shotを購入する場合には、デビットカードまたはクレジットカードが利用できるほか、特定の仮想通貨(暗号資産)またはステーブルコイン(USDCおよびDAI)を使用する方法があります。

NBA Top Shotを運営するDapper Labsとは?

NBA Top Shotを運営するDapper Labsは、2017年にブロックチェーンゲーム「CryptoKitties」を開発した企業です。CryptoKittiesは、2017年後半に大きな注目を集めたコレクションゲームであり、NFTで表現されたデジタル猫が高値で売買されていました。

Crunchbaseのデータによると、Dapper Labsはこれまでに5250万ドルの資金調達を行っており、2021年2月には2.5億ドルの資金調達を実施する計画が明らかにされています。

参考:https://www.coindesk.com/dapper-labs-circle-usdc-payments-nba-top-shot

同社はNFT市場の黎明期からコミットしており、当初はイーサリアム上で開発を進めていました。しかし現在は、そうした開発経験を基にして構築した独自のブロックチェーン「Flow」を活用しています。

NBA Top Shotに採用されているFlowブロックチェーンとは?

NBA Top Shotは、前述したFlowブロックチェーン上で開発されています。また、Flowブロックチェーンでは、NFTのようなデジタルアセットを扱うことを念頭に置いた上で、セキュアで拡張性のあるコードによる開発を目指す独自言語「Cadence」が採用されています。

NFTのようなデジタルアセットを安全に実装するための設計となっている点が特徴的です。なお、このあたりの情報は日本のFlowブロックチェーンコミュニティ「Flow Japan」さんが複数の記事を出しているので、そちらをご覧ください。

参考:https://medium.com/flow-japan

Dapper LabsがFlowを開発した理由

Dapper Labsが(NBA Top Shotを含む)ブロックチェーンアプリケーションの開発で、イーサリアムではなくFlowを選択した理由には大きく2つあったと言われています。

  1. イーサリアムはトランザクション手数料であるガス代(gas fee)が高い(あるいは変動リスクが大きい)
  2. スケーラビリティに関する課題

DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)系アプリの人気に伴い、イーサリアムのガス代はしばしば高騰しています。

またガス代の高騰に関連して、イーサリアムはスケーラビリティ問題も(2021年3月現在では)顕在化しています。取引がなかなかブロックに格納されず、結果高い手数料を払わざるを得ない問題が発生しているのです。

NBA Top Shotは上記の問題を踏まえた上で、Flowという新しいブロックチェーンを用いたプロダクト開発を選択しました(その他にもNFT系のプロダクトはユーザーの資産を扱うため、より安全に開発ができるようにしたかった、という理由もあると推察されます)。

ただし、スケーラビリティ問題については解決するために様々な技術開発が行われており、今後は改善していくと考えられます。

NBA Top Shotの課題とは?

NFTプロダクトとしては過去最高の売上を記録しているNBA Top Shotですが、前述したようにオープンβ版であるため、いくつかの課題も指摘されています。

一時的なダウンタイムの発生

まず、利用者の急激な増加による一時的なダウンタイムが課題になっています。

たとえば2021年1月14日、有名スポーツのパーソナリティであるJonathan Bales氏が、NBA Top Shotに関するツイートをした結果、NBA Top Shotは多くの層に認知されました。

ツイートだけが要因ではありませんが、その後、NBA Top Shotの購入希望者が殺到し、一時的にサービスが利用できないといった問題が生じました。さらに、その後もNBA Top Shotは、頻繁にダウンタイムを発生させています。

資金の引き出し先が限定的かつ時間を要する

NBA Top Shotは一度購入したデジタルカードを二次流通市場で売買可能です。売却して得た売上は引き出し可能ですが、引き出し先が限定的かつ時間を要する点も課題として指摘されています(ただし、オープンβ版である点を考慮する必要はあります)。

2021年3月時点では資金の引き出し先として、米国の銀行口座またはステーブルコインのUSDCのみが選択可能です。また、財務上のコンプライアンスの理由から、すべての引き出しリクエストについて、運営会社であるDapper Labsが主導でチェックしているため、待ち時間が発生しています。

価格高騰による新規参入の難しさ

その他にも10万ドル以上で取引されているNBA Top Shotカードの出現により、参入障壁が高くなるのではないか?という懸念も指摘されています。

ただしこの点にはついては、Dapper LabsのCEOであるRoham Gharegozlou氏が、過去のインタビューで多くの低コストパックとモーメントの存在を強調しています。

NBA Top ShotなどのNFTがスポーツコミュニティに提供する価値とは?

NBA Top Shotが記録的な売り上げを残した背景には、NFT市場の黎明期からコミットしてきたDapper Labsと、文化的な地位と大きなコミュニティを築いているNBAが手を組んだ点が大きいと考えられるでしょう。

NBA Top Shotにはカードの展示や再販売が可能なマーケットプレイス機能が提供されおり、ユーザー同士の交流や、カード売買による二次流通が積極的に行われています。

(現在は投資・投機的な観点も多分にあるものの)NFTを通じた新しいスポーツの楽しみ方が出てくる可能性があり、強固で大きなコミュニティとNFTという新しいアセットを掛け合わせることで、NFTの新たな価値を生み出していると言えるでしょう。

なお、NBA Top Shotのプロデューサーであり、Dapper LabsのBenny Giang氏は、Webメディア「あたらしい経済」のインタビューで、トークンを通じて人々が繋がり始める現象(トークングラフ)が出てくるのではないかと語っています。

参考:【独占取材】NFTの次のフェーズはトークングラフ(Dapper Labs NBA Top Shot プロデューサー Benny Giang)

Chilizではサッカークラブのファン向けにトークンを発行

ブロックチェーンを活用して、ファンコミュニティに新たな価値提供を行っているスポーツチームや団体は、NBAだけではありません。ブロックチェーン関連の事業を行う「Chiliz」はサッカークラブのファン向けにトークンを発行・販売しています。サッカークラブのファンは、Chilizが開発した「Socios.com」を通じて応援するクラブチームのファントークンを購入・保有可能です。

また、トークンの発行主となるクラブチームは、Socios.com独自のブロックチェーン上にある「Fan Token Offering」を通じて、ファントークンを発行していきます。すでにパリ・サンジェルマン、ユベントス、FCバルセロナなど世界トップクラブがChilizおよびSocios.comへの参加を表明しています。

参考:https://www.chiliz.com/jp/chiliz-fc-barcelona-jp/

ファントークンを保有する人たちは、クラブチームが行う投票イベントへの参加権や公式ショップでの優待など、トークンホルダーは様々な特典を受けられるようになります。

まとめ

NBA Top Shotは、NFTとNBAが手を組んだデジタルカードゲームです。2021年3月現在、すべてのNFTプロダクトのなかでトップの売上を記録しています。

どのカードもNFTであるため、希少性が担保されており、オンラインの二次流通市場の形成やプレイヤーとNFTカードの価値が連動する点は、既存のNBAファンに新たな価値を提供していると言えるでしょう。

その他にもChilizが世界的なサッカークラブとそのファンコミュニテイ向けの取り組みを進めており、暗号資産やNFTを媒介として、既存コミュニティの新たな交流や価値創出に繋げる動きが今後も出てくるはずです。

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編集:原伶磨

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