NFT(Non-Fungible Token)とは?基本と活用事例を解説

NFT(Non-Fungible Token)とは?基本と活用事例を解説

はじめに

ブロックチェーン上で管理されるアセット(資産)をほかと区別し、データに唯一性を与えるNFT(Non-Fungible Token)は、ビジネスにおいて様々な活用パターンが考えられます。NFTは日本でも積極的に取り組む企業が多く、注目すべきブロックチェーン関連のトピックです。

2021年2月現在、NFTはパブリックチェーンの文脈が強く、多くの企業には関係無いように思うかもしれませんが、債権をNFT化した資金調達アプリケーションの実現を試みる事例も登場しています。さらに今後、デジタル空間での経済活動が拡大するなかで、NFTの活用が進む可能性は否定できません。大手スポーツメーカーの「NIKE」もNFTに関する特許を取得しています。

参考:ナイキ、人気スニーカーをイーサリアムでトークン化する特許取得 〜偽物の流通防止やゲーム連携のアイデアを含む

そこで本記事では、NFTの基本的な解説を行った上でビジネスにおける活用事例をいくつか紹介していきます。

NFT(Non-Fungible Token)とは?

NFT(Non-Fungible Token)は代替可能性の無いトークンのことです。NFT(Non-Fungible Token)を理解する際には、「Token」および「Fungibility」という概念について知っておく必要があります。

トークンとは?

まず、トークン(Token)には明確な定義はありませんが、ブロックチェーンの文脈では、ブロックチェーン上で発行され、プログラミング可能な価値あるデータを指す場合が多いです。例としては、ビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)などの仮想通貨(暗号資産)、デジタルチケットなどが挙げられます。

tokenはブロックチェーン以外でも使われる英単語であり、「事実や品質、感覚といった抽象的概念を目に見える形で表現したもの」「商品やサービスと交換できる証票」といった意味があります。ブロックチェーンにおけるトークンも、tokenという英単語の定義から外れるものでは無いと考えられます。

ファンジビリティとは?

次にファンジビリティ(fungibility)とは、他の同一のアイテムと置き換えられる(交換できる)性質のことです。したがって、ノンファンジブル(=ファンジビリティが無い)とは、他のアイテムと置き換えられない性質を表しています。

「ノンファンジブル」は聞き慣れない言葉なのでイメージしにくいかもしれません。しかし、現実世界で私たちが所有しているモノは、ほとんどがノンファンジブルな性質を持っています。スマホやPC、愛用している家具、ペットなどは他のモノに置き換えられないはずです(もちろん自分自身もノンファンジブルです)。

したがって、NFT(Non-Fungible Token)とは、プログラミング可能で代替不可能なトークンだと言えます。NFTはそれぞれがユニーク(唯一性のある)なトークンであり、対応するプライベート鍵の所有者のみがNFTを操作可能です。

なお、多くの場合、ビットコインなどの暗号資産はNFTには分類されません。マネー(硬貨や紙幣、暗号資産)はファンジブルなモノと考えられます。自分の500円硬貨と他の誰かが持っている500円硬貨は、原則として等価であり交換可能です。


Non-FungibleFungible
概要他の同一アイテムと交換できない
価値がある(唯一性がある)
他の同一アイテムと交換できる
使用中のスマホやPC、
飼っているペットなど
硬貨・紙幣、暗号資産など

ファンジビリティは絶対的なものではなく、相対的・主観的なものである点には注意が必要です。例えば、同じ500円硬貨であっても、他の500円硬貨と交換できない(と考える人がいる)ケースはあり得ます。有名人が持っていた500円硬貨や、7日間のみだった昭和64年の硬貨は、他の同じ額面の硬貨よりも高い価値が付けられています。

ブロックチェーンベースのNFTの特徴

NFT(非代替性)という性質自体はブロックチェーンの専売特許という訳ではなく、ブロックチェーンが誕生する前から存在していました。特定企業のサーバ内で管理されるゲーム内のアイテムやイベントのチケット、SNSアカウントのIDなどは、NFTに分類可能です。

具体的には、Epic Gamesの開発するオンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」内で使えるコスチュームなどもNFTと言えます。こうした(ブロックチェーンを使わずに実装された)NFTと比較して、ブロックチェーンベースのNFTは以下のような特徴を持っています。

  • NFT実装のための標準化が進んでいる
  • 標準化(規格化)により相互運用性が担保されている
  • オープンな二次流通市場が形成されており、売買や譲渡が容易である
  • NFTの発行数を不変として希少性を持たせることができる

2021年2月現在、多くのNFTがイーサリアム上で発行されていますが、イオス(EOS)やトロン(TRON)といった他のパブリックチェーンでも、イーサリアムと同様にNFTのための規格が策定されています。なお、基本的に相互運用性や標準化、流動性などが担保されるのはひとつのブロックチェーン基盤内に限ります。

また現在、異なるブロックチェーン間でNFTを相互利用するための仕様も策定されており、たとえば日本のブロックチェーン企業4社が共同で、相互運用性を担保するためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」の策定を進めています。

参考:https://medium.com/oct-pass/first-press-release-ja-ab3a09eabe56

成長するNFT市場

ブロックチェーンベースのNFTはまだ歴史の浅い市場です。そもそもNFTという概念自体、言語化され、市場に浸透し始めたのは2017年後半からだと考えられています。

参考:The Non-Fungible Token Bible: Everything you need to know about NFTs

2017年後半、イーサリアム上で構築されたデジタル猫のコレクションゲーム「CryptoKitties」が発端となり、それ以降に多くのNFTアプリケーションが開発されました(多くはコレクションやゲーム、デジタルアート、そうしたNFTのマーケットプレイスのアプリ)。

NFT市場のデータプラットフォーム「NonFungible.com」によると、NFT市場は2018〜2020年で8倍以上に成長しています(4,096万ドル→3億3,803万ドル)。

https://nonfungible.com/blog/nft-yearly-report-2020

高い成長率の一方で、市場規模自体は拡大途上だと考えられます。3億3,803万ドル(約350億円)は、日本で言えば人口10万人前後の自治体の一般会計予算と同程度です。なお、ビットコインの市場規模は100兆円を超えています(2021年2月22日現在のレートで換算)。

NFTの活用事例

詳細は別の記事に譲りますが、テクノロジーの発展とともにメタバースという仮想世界の登場が予想されており、そうした世界でNFTの重要性が高まる可能性があります。したがって、NFTの活用は企業が注目すべきテーマのひとつです。

参考:メタバース(仮想世界)とブロックチェーンの関係性とは?

NFTの活用事例としては、ゲームやデジタルアートが目立ちますが、その他にも様々な活用例が考えられます。事例を基にいくつか紹介していきましょう。

以下のサービスは「MetaMask」などのウォレット(トークンを送受信できるツール)の活用が前提となっています。

NFTの活用事例「債権のトークン化と資金調達」

まず、NFTの活用事例として挙げられるのは、請求書のような債権をNFT化し、それらを担保にした資金調達を効率化するケースです。イギリスの企業を対象にした調査ではありますが、請求書の発行から振り込みまでには平均して67日(2015年)を要しています。

参考:https://www.statista.com/statistics/474224/average-wait-for-invoice-payment-by-sector-united-kingdom/

特に中小企業は債権の現金化ニーズが高いため、ファクタリングのような売掛債権を買い取る金融サービスが発達してきていますが、そうしたサービスをブロックチェーンやNFTを用いてより効率化しようという試みが進められています。

非中央集権型の資金調達サービスの基盤を開発する「Centrifuge」は、上記の資金調達にかかる課題解決を目指すプロジェクトのひとつです。現実の債権(請求書など)を担保にNFTを発行、それらを非中央集権型の金融サービス(いわゆるDeFi(Decentralized Finance)と呼ばれるもの)に接続して、資金調達を行うサービスが提供されています。DeFiへの接続はCentrifugeのチームが開発するアプリケーション「Tinlake」によって行われます。

【近日公開】パブリックチェーンとNFTを用いて企業の資金調達を効率化するCentrifugeとは?

NFTの活用事例「資格証明」

NFTは資格証明にも利用可能です。たとえば、コミュニティのメンバーである証明としてNFTを活用し、サービスやコンテンツへの限定アクセス権として活用できます。過去、米経済メディア「Forbes」が自社のオンラインメディアの広告を非表示にできるサブスクリプションサービスの会員権として、NFTを試験的に導入していたケースがありました。

ここまでは通常のサブスクと大差ありませんが、NFTの場合はその権利を二次流通市場で他人に譲渡できる点が特徴的です。後述する「OpenSea」のようなトークンのマーケットプレイスで売却・譲渡できます。

なお、Forbesの事例では、コンテンツのアクセス権となるNFTを簡単に発行し、Webサービスなどに組み込めるプロトコル「Unlock protocol」が利用されました。

NFTの活用事例「ゲーム」

おそらく国内でもっとも認知されているNFTの活用事例がゲームでの利用でしょう。ゲーム内のアイテムやキャラクターをNFTとすることで、それぞれが固有のパラメータと価値を持ちます。ゲーム内で育成したキャラクターなどは二次流通市場で取引され、パラメータやレアリティが高いほど高値で取引されています。

ゲームとNFTについては以下の記事でも解説していますので、興味のある方はご覧ください。

関連記事:ゲーム×ブロックチェーン NFTの解説と従来のゲームとの違い

※国内でNFTとブロックチェーンゲームの認知が広がった大きな要因としては、2018年に「double jump.tokyo株式会社」がローンチしたブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」があります。

同ゲームはローンチ後、イーサリアムを用いて開発されたゲームの中でユーザー数や流通額で世界1位を獲得し続けた実績があり、同社はそのノウハウを「MCH+」というプログラムとして提供し、他のブロックチェーンゲーム開発プロジェクトに共有するなど、国内のブロックチェーンゲームの成長に貢献しています。

参考:https://www.mycryptoheroes.net/

また、ブロックチェーンゲームのNFTは共通規格に従って実装されているケースがほとんどであるため、技術的には異なるゲーム同士で同じNFTを使うことができます。ただし、ゲームを超えたNFTの利用は開発企業同士の連携が不可欠であるため、そのハードルは決して低くはありません。

NFTの活用事例「マーケットプレイス」

同じブロックチェーン基盤で発行されたNFTは、ゲームなど個別のアプリケーション外で(ブロックチェーン上で)取引可能です。こうした取引を行うためのNFT向けのマーケットプレイスが存在します。NFTの流動性を向上させ、NFTの二次流通市場を形成しているのです。

サービスとしては2017年末にアルファ版をローンチした「OpenSea」が最大手ですが、NFT化されたデジタルアートのマーケットプレイス「SuperRare」や、コミュニティ主導のNFTマーケットプレイス「Rarible」など新しいサービスも出てきています。OpenSeaとSuperRareについては、2021年2月現在、デイリーの取引量が100万ドルを超えています。

また、国内に目を向けると、NFTマーケットプレイスは国内大手の暗号資産交換業者「コインチェック」が事業化を検討しており、今後国内でもプレイヤーが増えていく可能性があります。現状では、NFTを入手するには暗号資産(特にイーサ)が必要であるため、NFT系サービスと消費者との接点を作れる暗号資産交換業者の動きには要注目です。

NFTの活用事例「メタバース(仮想世界)」

最後に普及するまでのタイムラインは長いかもしれませんが、可能性のあるNFTの活用事例としてメタバース領域を紹介しておきます。

メタバースとは?:インターネット上に広がる仮想世界のこと。メタバースを体現するサービスはまだ無いと言われているが、オンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」が近いと言われている。今後、経済成長が期待される分野のひとつ。

ブロックチェーン活用の有無を問わず、2000年代からWeb上の仮想世界を実現するサービスがいくつも開発されており、3DCGで構成された仮想世界「Second Life(セカンドライフ)」というサービスを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?

こうしたメタバース内のアイテムや土地などをNFTとして流通させ、ユーザーが所有や売買できるサービスが複数登場しています。もっとも有名なプロジェクトとしては、2015年のプロトタイプローンチ以降、2021年2月現在まで開発が続けられている「Decentraland」が挙げられるでしょう。

Decentralandでは、土地(不動産)がNFTとして流通しており、数百〜数千万円でNFT(Decentraland内の土地)が購入されたニュースがときどき報じられます。現在はPCブラウザ上で3DCGの仮想世界を探索でき、いくつかのアプリケーション(カジノゲームなど)をプレイでき、将来的にはVRデバイスに対応する予定です。

その他にも「The Sandbox」や「CryptoVoxels」など、メタバースの文脈で土地やアバター、ファッションアイテムなどをNFT化したサービスが登場しています。

なお、メタバースとNFTやクリプト(暗号資産)の未来については、以下の論考で詳しく述べられています。英語ですが、興味のある方はご覧ください。

参考:Into the Void: Where Crypto Meets the MetaverseThe Value Chain of the Open Metaverse

そのほかにも様々な活用事例が存在

そのほかにも、デジタルアートや音楽、漫画などのコンテンツがNFT化されています。特にデジタルアート領域では当時の価格で6,900万円のNFTが取引されるなど、話題を集めています。

また、複雑なイーサリアムアドレスを可読性の高い文字列(bassinfo.ethなど)として登録できる「Ethereum Name Service(ENS)」も、NFTとして取引可能です。過去には「amazon.eth」 が100 ETHで取引されました

まとめ

2020年末の時点ではNFTの市場規模は3億3,803万ドルであり、市場としては決して大きくありません。しかし、今後多くの機能やモノがデジタル化されるなかで、その可能性は過小評価すべきものではないでしょう。

実際、唯一性を表現できるNFTは権利や証票としても利用される事例は出てきており、さらにそうしたデジタル資産を担保にした金融サービスも登場しています。また、メタバース時代の到来を踏まえても今後成長する可能性が大きいと言えるでしょう。

コロナ禍でデジタルライブやインターネット空間での経済活動の拡大が加速する中、いずれNFTやブロックチェーンがこうした領域と交わる部分を多くの企業が無視できないほど大きくなってくるはずです。

以下の記事ではメタバースとブロックチェーンの関係について紹介しますので、興味のある方はこちらもぜひご覧ください。

▼詳細はこちら
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