現金は生々しい?コミュニティ通貨が人のつながりを生み出す理由|ステラエックスCEO平井威充|インタビュー#01

現金は生々しい?コミュニティ通貨が人のつながりを生み出す理由|ステラエックスCEO平井威充|インタビュー#01

ブロックチェーンメディア「BaaS info!!」(バース・インフォ)では、ブロックチェーン業界で活躍する方々へのインタビュー記事を不定期で掲載しています。

※過去のインタビューはこちら

今回のゲストは「ステラエックス株式会社」CEOの平井威充(ひらい たけみち)さん。インタビュー前編では、同社の開発するオリジナルコインを発行できるSNS「island」や、コイン(トークン)が人とのつながりに与える影響を中心に伺いました。

【プロフィール】
平井 威充(ひらい たけみち)さん


大学院卒業後、三菱UFJ信託銀行にて企業年金の資産管理・運用業務に従事。その後、人事部にて新卒・中途採用業務を経て退職。2016年からフリーランスとしてWebページの解析、データ分析業務などを行う。また、ブロックチェーン関連業務にもエンジニアとして携わり、2018年1月ステラエックス株式会社を設立。

ブロックチェーン活用のSNSアプリ「island」とは?

―本日はよろしくお願いします!まずはステラエックス株式会社の事業について簡単に教えてください。

私たちは「island」というブロックチェーンを活用したSNS型のオリジナルコイン発行アプリを開発しています。加えてislandに紐づくAPI(Application Programming Interface)を使った新規事業の開発業務も行っています。後者の方は共創事業と呼んでいますね。

―「APIを使って」というのは、たとえばコミュニティ内でコイン(トークン)を発行する機能を利用できるということでしょうか?

その通りです。トークンやチケット、トークンやチケットのやり取りをするためのQRコードを発行できるAPIを提供していて、お客さんと新しいサービスを作っています。この部分に関してはブロックチェーンに限らず、コミュニティサービスを作りたいというお客さんに対して、必要なAPIを一通り提供している感じですね。

最近だと、教育業界のお客さんと学習内容に応じてトークンが発行されるサービスを開発したり、都市開発の企業からコミュニティ形成の文脈でご相談を受けたりしています。

居酒屋、地域、家族。コミュニティ通貨が人のつながりを強くする?

―islandにはどんなコミュニティがあって、どのように活用されているのか教えていただけますか?

いま多いのはお店です。事例としては、渋谷と下北沢に店舗がある居酒屋さんで使っていただいて、すでに500人を超えるコミュニティになっています。その店舗では食事代の5%をコインでキャッシュバックしたり、islandのアプリ内で投稿したりするとコインが贈られたりします。

貯まったコインはお店のメニューと交換できるんですが、交換できるのが全部裏メニューなところが面白いんですよ。裏メニューだから当然メニューに載っていません。

隣のお客さんが全然違うものを食べているので、「そのメニューって何ですか?」からお客さん同士で会話が始まって、アプリを紹介しあうやり取りも生まれます。そうすると(islandやコインを介して)新しいつながりが生まれていくんです。トークンエコノミーという文脈では、比較的上手く回っている印象です。

―裏メニューと交換できるのは面白いですね!まさにコイン(トークン)が媒介となって、お客さん同士の交流を促進させているわけですね。

10月下旬くらいからは、逗子市でもislandが使われる予定です。初めてコミュニティに入ると逗子コインがプレゼントされたり、逗子で消費してくれたらコインが還元されたりといったやり取りが行われる予定です。

ステラエックス株式会社Webサイトより(https://stellax.jp/news/774)

あとは家族で利用してくれている方もいますね。あるご家庭では、子どもの送り迎えや子どものお弁当を作ったら、コインをプレゼントしているみたいです。あとはちゃんと勉強したら子どもにもコインをプレゼントして、コインが貯まったらおもちゃ券と交換する使い方もされています。

―いろんなコミュニティで使われていますね。社内通貨としても使えそうです。ちなみに、新型コロナウイルスの影響でislandの使われ方に何か変化はありましたか?

まず使われ方という点では大きな変化はありません。一方でコミュニティ登録は増えています。islandでは新規コミュニティはすべて申請が必要で、最初にどんなコミュニティにするのかを確認しているのですが、(コロナ禍で)家族や飲食店のコミュニティが増えましたね。

「コイン(トークン)」と「電子マネー」の違いとは?

―お話を伺っていて、コミュニティ内でのみ使えるコイン(トークン)は、現金や電子マネーと少し異なる位置付けにあるような気がします。サービスを運営していて感じる、トークンと電子マネーの違いがあれば教えてください。

正直、お金にするかトークンにするかは、サービスを開発するときにかなり悩んだところなんです。お金の方が良いんじゃないかと。ただ一方で法定通貨が絡んでくると、コミュニケーションが生まれづらいとも思っていました。色々インタビューした結果、日本円よりもやっぱりトークンの方が良いっていう意見が多かったので、トークンを採用しています。

いまでは、お金じゃないから良いよねとよく言われます。やっぱりトークンの方がコミュニケーション取りやすいんでしょうね、感覚的に。お金だとどうしても生々しさが出てくることがあります。

―感謝とかお金にすると急に生々しくなりますよね(笑)。

そうですね(笑)。

islandではブロックチェーンがどのように使われているのか?

islandのコインやチケットはQuorumベースで発行

―islandでブロックチェーンがどう使われているのかをお聞かせいただけますか?

いまブロックチェーンを使っているのは基本的にトークンと電子チケットの部分だけです。ブロックチェーンとしては「Quorum」を使っています。現在はERC規格でトークンやチケットを作っていて、確実に安定して稼働することが検証された後、次のフェーズに移っていきたいと思っています。

BaaS(Blockchain as a Service)としてAzureを活用

―実際にQuorumベースで開発してみてどうですか?

QuorumはEthereumベースなので、 Ethereumを理解しているとそこまで苦労しないと思います。また現在は「Microsoft Azure」のEnterprise版を使わせてもらっていて、監視機能などしっかりしている印象はあります。

Microsoftによるスタートアップ支援

―なるほど。MicrosoftやAzure関連で言うと、ステラエックスさんは「Microsoft for Startups」というプログラムにも参加していると思いますが、参加してみていかがでしょうか?

Microsoftさんはテクノロジーの会社なので、最初のうちは技術的な支援だけかなと思っていたんです。Azureの使い方とか最新情報の共有とかそういったサポートがあるのかなと。

もちろん技術的なサポートも手厚くしていただいている一方で、マーケティングや営業面でのサポートもしていただいています。意外と言いますか、こちらの要望以上にサポートしていただいていますね。たとえば、お客さんのご紹介やお客さんのところにも一緒に同行すると言っていただくなど、サポートの手厚さは感じますね。

―技術だけではなく、ビジネスにも伴走しているんですね。

そうだと思います。

ブロックチェーン活用のメリットとは?

―islandを開発するなかで感じているブロックチェーン活用のメリットは何でしょうか?

まず、現時点ではトークンやチケットの発行にブロックチェーンを活用しているので、メリットとしては(その取引履歴を)追跡できるという点ですね。よく言われているように改ざんができないという部分もメリットです。

それと将来を見据えた上で、どんな領域にブロックチェーンを適用できるか考えたときに、ひとつはやはりコミュニティ内での活動履歴(の可視化や共有)に使っていけたら良いなと思っています。

いまって会社だけで評価されることが一般的だと思うのですが、それとはまた別軸でコミュニティ内での活動や貢献度も合わせてその人の評価として認められるような世界観を作っていきたいんですよね。色んな方のコミュニティへの貢献度が蓄積されれば、他のサービスと連携したときに仕事以外の部分でもその人の活躍が見えるようになるなと。

―なるほど。やはりコミュニティ内での活動を可視化したり、活性化させたりするような仕組みづくりをやっていきたいということなんですね。こうしたアプリケーションを作るきっかけや背景にある課題意識はあるんでしょうか?

前半はここまで。後編へ続きます!

質問の途中ですが前編はここまで!インタビュー後編では、island開発のきっかけや今後の展開、ブロックチェーンを活用する上でのスタンスなどを伺っていきます。

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