日本の産業をブロックチェーンで発展させる、レシカの取り組みとは?|株式会社レシカCMO李 晟磊(り せいらい)|インタビュー

日本の産業をブロックチェーンで発展させる、レシカの取り組みとは?|株式会社レシカCMO李 晟磊(り せいらい)|インタビュー

ブロックチェーンメディア「BaaS info!!」(バース・インフォ)では、ブロックチェーン業界で活躍する方々へのインタビュー記事を不定期で掲載しています。

※過去のインタビューはこちら

今回のゲストは「株式会社レシカ」CMO(Chief Marketing Officer)の李 晟磊(り せいらい)さんです。同社で幅広い業務を担当しながらPM(Project Manager)としても活躍される晟磊さんに、同社の注力事業やプロダクト、ブロックチェーンが使われていく上でのハードルについて伺いました。

【プロフィール】
李 晟磊(り せいらい)さん


株式会社レシカCMO(Chief Marketing Officer)。大企業、スタートアップ双方での幅広い業務経験を有し、以前は、リーランドキャピタルでの日本カルチャープロジェクトマネージャー、上海三菱商事でのCEO秘書、みずほ銀行法人営業の業務に従事。様々なミートアップやカンファレンスを開催する傍ら、日中両国の若手リーダーを育てるNPO団体Japan China Leadership Programのコアメンバーも務める。日本文化にも興味を持ち、テクノロジーが社会問題を解決すると信じている。九州共立大学の経済学部を卒業。

顧客へのヒアリングを重ね、気付いたこと

―本日はよろしくお願いします!まずは株式会社レシカの事業や李 晟磊(り せいらい)さんがされているお仕事について簡単に教えてください。

まず、弊社は2018年末に代表のクリス・ダイが創業した会社です。業務内容としては主にブロックチェーン技術の開発、コンサルティング業務及び自社SaaS(Software as a Service)の提供を行っています。

―晟磊(せいらい)さんはそのなかでどんな仕事をされていますか?

スタートアップなので広報や人事含めて何でもやっていますね。あとは私自身、得意な業界や分野があるので、そういったプロジェクトに対してはPM的な立場で、クライアントやエンジニアとのコミュニケーションやプロジェクトの進行も一緒にやっています。最近は自社プロダクト「livesola」も誕生したので、マーケティングをメインで取り組んでいます。

―なるほど。幅広い業務をやりつつ、お客さんと社内エンジニアの橋渡し役になっているんですね。

異なる産業にある共通の課題から生まれたプロダクト

―レシカさんでは基盤となるブロックチェーンとアプリケーションの橋渡しをする「RECIKAミドルウェア」というAPI(Application Programming Interface)を開発・提供していると思いますが、開発の背景をお聞かせいただけますか?

代表のクリスはもともとコンサル出身なので、企業側の課題をしっかり把握した上で「本当にブロックチェーン技術を導入する必要があるのか?」を考えています。

弊社は創業当初、コンサルティングの問い合わせが非常に多い状態でした。(様々な企業に対してヒアリングをしていく中で)異なる産業であっても共通の課題を持っている場合が多いことに気が付いたんですね。(各産業に対する)知見が蓄積されていく中で、どこの企業でも使えるようなミドルウェアの必要性に気づき、設計・開発したという経緯があります。

株式会社レシカWebサイトより(https://recika.jp/?page_id=8197)

―「どこの企業でも使えるようなミドルウェア」という点は、レシカさんのWebサイトにある「フランチャイズ」が意味するところなのでしょうか?

そうですね。色んな産業の企業さんに対してコンサルティングをしていくなかで発見した共通の課題をモデルケースとして確立して、レシカが共通のソリューションインフラを作り出して、幅広い業界内の企業に使っていただく、というのが我々の目指している事です。

―なるほど。まずは特定業界の課題にフォーカスしてモデルを作って横展開していく、というイメージなんですね。

海外企業ネットワークを駆使して日本企業の海外展開も後押し

―レシカさんの強みとする点を教えてください。

まず低コストかつ素早く、ニーズに合わせてカスタマイズしながらブロックチェーン開発ができるという点は強みだと思います。ただそれだけじゃなくて、イノベーティブでマネタイズしていけるビジネスモデルを企業さんと一緒に作っていけるところも強みですね。弊社のメンバーは7割が技術者ですが、のこり3割のほとんどはコンサルタントとしての経験が豊富なメンバーです。

代表のクリスはアメリカ留学時のネットワークもあり、社内でも多国籍のメンバーが集まっていて、グローバル市場に対しても強みを持っています。さらにシリコンバレーにも開発チームがいるので、海外展開をしていくためのノウハウも持っています。実際に日本企業さんが海外展開をしていくお手伝いもしていますね。

―それは強いですね。ほかの地域にもチームがいるんでしょうか?

中国にはソフトウェア開発のチームがいます。またパートナー企業として、日本の大手企業の中国展開をサポートしている会社もいますね。大手日本企業の顧客管理業務などをやっている会社さんで、そことも連携しています。

株式会社レシカが考えるブロックチェーンの注力領域とは?

大学病院との共同研究や他社とのプロジェクトも複数展開

―レシカさんは昨年(2019年)と今年(2020年)で医療分野でのプレスリリースを2本出されていますが、会社として医療業界でのブロックチェーン活用に注力しているのでしょうか?

弊社は大企業との案件を含め色んなプロジェクトを進めていて、リリースとして発表しやすいのが、いまのところ医療分野での取り組みなんですね。

―なるほど。ちなみにレシカさんのWebサイトには記載されている「アプローチする領域」は注力分野として考えて良いのでしょうか?

そうですね。ただ、実は新型コロナウイルスの影響もあって、短期的に注目している分野や中長期的に注目している分野がすこし変わってきています。

コロナ前に進んでいたのがIoTセンサーを組合せたソリューションで、ガチャなどのゲーム機器のリーシングで海外展開している企業さんと一緒に進めていました。(海外展開した先の)中国や東南アジアで課題としてあったのが売り上げデータの改ざんです。そこでハードウェアから開発して、ゲーム機器にセンサーを取り付けてリアルタイムでデータを取得して、ブロックチェーンに書き込めるシステムを開発しました。

ただ開発したタイミングでコロナが流行してしまい、中国のオフライン店舗もすべて閉まってしまって、IoTのプロジェクトはいったんストップしています。残念ながら発表もできていない状態です。

株式会社レシカWebサイトより(https://recika.jp/)
※DLTは分散型台帳技術のこと

地方の特産品を海外の顧客へ

―やはりオフライン店舗などにはコロナの影響があるんですね…。その他に注目している領域を教えてください。

いま注目しているのが「地方の特産品のトレーサビリティ」と「デジタルコンテンツの流通」ですね。

―地方の特産品のトレーサビリティというのはどういうことでしょうか?

たとえば、5年後に完成する地方の特産品があるとして、その所有権を(ブロックチェーンを活用して)証明します。そしてその権利を投資家が購入して、二次流通させるようなエコシステムを描いています。

―地方の伝統工芸品みたいな特産品の所有権をトークン化して、それを売買するイメージですね。

そうです。我々が狙っているのが中国を含めた世界の富裕層で、特にいまは日本に外国人が来られないからこそ、日本の工芸品や食材とかはすごくニーズがあるんですね。

アーティストやクリエイターを支援し、デジタルコンテンツ業界の活性化も狙う

―デジタルコンテンツ分野に関してはいかがでしょうか?

経済産業省の事業で一般財団法人デジタルコンテンツ協会さんが開催した「TechBiz」というプログラムがあって、そこに我々の技術も採択されています。

参考:TechBiz2020(コンテンツ技術海外展開支援)採択技術決定 | 新着情報

いまコロナでライブが開催できないなかで、クリエイターとかアーティストの方々がすごく苦労しているんですね。アーティストにお金を還元できる仕組みが無くて、このままだとカルチャーとかコンテンツ業界がどんどん衰退していくんじゃないかと思っています。

(アーティストやクリエイターを支援するという点で)実際にブロックチェーンの良さを知ってもらえる分かりやすいものを作っていて、アーティストやクリエイター(のようなIPホルダー)とそのファンがインタラクティブな体験ができるような「livesola」というサービスを開発しています。今年(2020年)11月に開催された「デジタルコンテンツEXPO」というオンラインのイベントでも発表させていただきました。

livesolaではブロックチェーンで所有権が証明できる公式のデジタルコンテンツを販売できたり、イベントの電子チケット(eチケット)を販売できたりもします。

livesolaの特徴としてはまず、IPホルダーとファンがインタラクティブにオンラインイベントを楽しむことができます。今はコロナでアーティストの皆さんはオフラインでのイベント開催などができず、ほとんどがオンラインにシフトしていますが、livesolaを利用することで大手プラットフォームに依存しなくても、IPホルダーを中心としたファンエコノミーを構築できるようになります。

IPホルダーのニーズに応じてデザインや機能もカスタマイズ可能です。IPホルダーには創作に集中してもらい、マネタイズは我々に任せて欲しいと思っています。

▼ livesolaのWebサイトはこちら
livesola,ファンエコノミーを構築するインタラクティブな舞台を~

―livesolaがターゲットとしているのはtoC領域でしょうか?

最初に利用していただきたいのは芸能事務所、チームで活躍されているKOL(Key Opinion Leader)、インフルエンサーを管理運営する会社です。(そうした会社や個人の抱える)ビジネスのニーズや課題を真摯に受け止めてから、本当の需要のあるプロダクトが誕生できるではないかと思います。

「気付いたら普通の人がブロックチェーンを使っている」というユースケースが必要

―いま直近で注力している領域を伺いましたが、将来的に日本でブロックチェーンを活用すれば良くなるはず!と感じている産業や領域はありますか?

(まず前提となる認識として、)ブロックチェーンは日本では仮想通貨のイメージがどうしても強いと思っています。(まだまだ怪しいと思っている人もいるので)そこをちゃんとクリアにしたいと個人的には思いますね。

その上で一般の人に使ってもらえるようになると良いと思っています。たとえば一番わかりやすいユースケースとして個人情報の管理があると思います。

私自身、子どもが生まれてから病院に連れて行く機会が結構あるんですが、病院やクリニックで個人情報や子どもの情報を毎回書かされるんですね。色んな病院で同じような情報を毎回書かないといけないんです。たぶん(ブロックチェーンと関わりの無い)一般の人も、私みたいに毎回情報を書くのが面倒に感じている人は多いと思います。

そういった面倒な部分は、Microsoftさんも取り組んでいるDID(分散型ID)みたいな形で、ひとつのIDに紐づけて管理してほしいですよね。本人の情報の公開範囲は自分で管理しながら(複数の病院などと)共有できて、毎回情報を書かなくて済むようにできたら、一番分かりやすいユースケースになるんじゃないかなと思っています。

(そういったユースケースにブロックチェーンが使われていると)親近感が出てきて、色んな産業でブロックチェーンを導入するときもみんな納得しやすくなるんじゃないでしょうか。

オフラインの課題をテクノロジーで解決する

―たしかに技術への信頼感というか、社会的にポジティブに認知されている状態は重要ですね。最後にブロックチェーンの導入を検討している企業に向けて、コメントがあればお願いします。

レシカはオフラインとオンラインのギャップを埋めようとしているんですが、そうしていくにはただ単に技術開発ができる企業だけでは絶対に足りません。

色んな産業で(オフラインの領域で)長年の経験やノウハウを持っている企業さんと一緒に、実際にどういった課題があるのかをちゃんと見て、改善していきたいと思っています。ぜひそういった企業さんにも参加していただきたいですね。

―いわゆる老舗とされているような企業さんに対しても、課題の深堀りやテクノロジーをどう使っていけるかを一緒に考えながら取り組んでいくということですね。本日はお話を聞かせて頂き、ありがとうございました!

▼株式会社レシカWebサイト
https://recika.jp/

▼ブロックチェーンを活用したエンタメ向けのサービス「livesola」
https://livesola.com/

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