ゲーム×ブロックチェーン NFTの解説と従来のゲームとの違い

ゲーム×ブロックチェーン NFTの解説と従来のゲームとの違い

ブロックチェーンと親和性の高い活用分野のひとつがゲームです。

いくつかのブロックチェーンには、代替不可能なトークン(NFT:Non-Fungible Token)を実装するための規格が存在しています。このNFTがゲームと相性が良いのです。

アイテムやキャラクターなどを「NFT」で表現することで、電子データであっても仮想世界における唯一のオブジェクトとして扱うことができます。要するに希少性を持たせられるのです。

本記事ではNFTの概要と基本的な特徴、NFTを活用した代表的なブロックチェーンゲームについて紹介していきます。

NFT(Non-Fungible Token)とは?

NFTとは、Non-Fungible Tokenの略称で、日本語では「代替不可能なトークン」と呼ばれています。Fungibleは「代用できるもの」という意味で、Nonが頭につくことで「代用できない」という意味になります。

「代替不可能」と「代替可能」という言葉はだけでは、理解が難しいと思いますので、一度整理していきましょう。

「代替不可能( Non-Fungible )」と「代替可能( Fungible)」とは

「代替可能」の代表例は、円やドルなどの法定通貨です。

例えば、友人と自分の千円札を交換しても価値は一定です。友人の1000円札ではリンゴ3個買えるのに、自分の千円札では同じリンゴを2個しか買えない、といったような事にはなりません。誰が所有する千円札でも1000円の価値があると国が保証し、我々もそれを信じています。そのため、千円札(日本円)は代替性(Fungibility)があるといえます。

一方、「代替不可能」の例を挙げると、プロ野球選手のグラブなどが該当します。例えば、イチロー選手が使ったグラブと、名もない野球少年が同じグラブとでは、市場で取引される金額は大きく異なります。
これは、 モノとしては全く同じだとしても、 グラブに「イチローが使った」という属性が加わると、それはオリジナルなモノとなり「代替不可能」になります。

ゲームとNFTの関係

NFTの要素をゲームの中で表現するとどうなるでしょうか。

NFTを使った代表的なブロックチェーンゲームに「Crypto Kitties」というものがあります。 猫のキャラクター同士の交配でき、オリジナルの猫の作成し、交配で産まれた子猫は親猫の遺伝子を引き継ぐ、という特徴を持つゲームです。

単純に色や姿の違う猫を作成するだけのゲームなのですが、登場する猫のキャラクターには、見た目や誕生日などの、独自のデータを持っています。

そしてそれらのデータは、ブロックチェーンの仕組みを使うことで、複製することができないようになっています。その結果、個性を持った猫というデータに、異なる価値を付属させることが可能になるのです。

今回はゲームの事例紹介ですが、データを改ざんしにくい状態、なおかつ代替不可能性をもたせることで、例えばデジタル上のアートや著作権管理などの応用も考えることができます。

既存のゲームとの比較

ゲーム内通貨と他の通貨の換金が可能

既存ゲーム:ゲーム内アイテムを通貨に換金するのが困難
ブロックチェーンゲーム:ゲーム内のアイテムを通貨に換金しやすい

ブロックチェーンゲームのキャラクターやアイテムは「Non-Fungible(代替不可)」として表現されており、尚且つ暗号資産を利用しているので、データ自体をアセット(資産)として取り扱うことができます。

ゲーム内の通貨は基本的に他の通貨と換金することが可能で、「OpenSea」「Bazaaar.io」などのNFTと仮想通貨を交換できるマーケットプレイス上で取引が可能になっています。

ゲームをプレイしていくことで、ゲーム内通貨を稼ぎ、それを仮想通貨と売買し最終的に日本円に換金すればゲームでお金を稼ぐことも可能です。

過去の例では、Crypto Kittiesで猫一匹600ETH(現在のレートで1300万円)で売買されたケースもあります。

透明性が高い

既存ゲーム:運営の不正を検出しづらい
ブロックチェーンゲーム:情報を参加者みんなで管理するため、不正が極めて困難

スマホゲームのガチャの確率操作問題を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

簡単にいうと運営者がガチャの確率を不正に操作し、レアアイテムの出現率を下げ課金額を増やすなどの問題です。

従来の中央集権的ゲームでは運営者が公開している情報の真偽を確認することができず、このような不正をユーザーが察知するのは困難です。

しかしブロックチェーンゲームでは、ユーザー全員が真偽の確認をすることが可能な状態で情報が管理されているため、不正が起きづらくなっています。

アイテムの所有権を真にユーザーがもつ

既存ゲーム:アイテムの所有権は運営者に帰属
ブロックチェーンゲーム:アイテムはプレイヤーに帰属

アイテム(トークン)の所有権をユーザーが「真」にもつということは、例えサービスが終了したとしても、ユーザーが自由にアイテムの移動ができるということです。

これまでの中央集権的なゲームの場合、ゲームが終了してしまうとお金を払って獲得したアイテムは戻ってきませんでした。

しかし非中央集権的なブロックチェーンゲームでは、ゲームが終了してもブロックチェーンで管理したアイテムを移動させることが可能です。

人気ブロックチェーンゲームの紹介

DappRadarという有名なサイトがあるのですが、そこのゲームカテゴリーのランキング上位にランクインしているゲームをご紹介いたします。

My Crypto Heroes

  

参照: https://speakerdeck.com/rmanzoku/enumerate-erc-721

  
My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ:通称マイクリ)とは、double jump.tokyo株式会社がリリースした国産のブロックチェーンゲームです。

マイクリは歴史上のヒーローと共にマイクリワールドの制覇を目指すブロックチェーンRPGゲームです。
  

参照: https://speakerdeck.com/rmanzoku/enumerate-erc-721

  
AWS上で構築されており、こちらの資料でアーキテクチャを確認することができます。
  

  
参考:AWS上で動く世界No.1ブロックチェーンゲーム
  

ERC721とERC1155の概要

NFTを実装するための簡単な方法としては、イーサリアムのERC規格を利用することが真っ先に考えられます。その中でも、ブロックチェーンゲームを構築する上で、最もメジャーなのがERC721です。また、比較的新しい規格でERC1155というのもありますが、今回はNFTを発行可能なこの2つを解説いたします。

ERC721とは

ERC721は、既存のERC20やERC223では実現できなかった、NFTを発行するための規格として最初に誕生したトークン発行の規格です。ERC20やERC223では「代替可能な」トークンの発行はできたのですが、トークンに誕生日などの属性を付加することはできませんでした。

しかしERC721では「Crypto Kitties」に見られるような、誕生日や見た目などのメタデータをトークンに付加することが可能になっています。

ERC1155とは

EnjinのWitek Radomskizが開発した新しいトークン発行の規格で、ERC1155トークンには以下の特徴があります。

  • ユースケース毎に「代替可能性」と「代替不可能性」のトークン発行が可能
  • トランザクションの承認作業が減る
  • 複数トークンの一括送信が可能
  • トークン作成が容易

マーケットプレイス

最後にNFTが取引できるマーケットプレイスの紹介をします。

OpenSea

OpenSea(オープンシー)は、ブロックチェーンゲームなどで発行されているNFT化されたアイテムやキャラクターなどを売買できるマーケットプレイスです。Ethereum上で構築されたマーケットプレイスとしては、もっとも早くローンチされ、なおかつ最大のサービスとなっています。

ユーザーはOpenSea上でオークション販売や複数のNFTのセット売り、入札など、様々な方法でNFTを売買可能です。なお販売代金の10%がプラットフォーム(OpenSea)に対する手数料として徴収されます。

miime

miime(ミーム)は国産のマーケットプレイスで、東証マザーズ上場企業「株式会社メタップス」の関連会社、「株式会社メタップスアルファ」がリリースしました。

2019年9月5日にクローズドβ版がリリースされ、2020年11月現在ではベータ版ではあるものの、誰でも利用できるようになっています。機能としてはOpenSeaのようにNFTの売買が可能ですが、日本語対応している分、日本ユーザーにとっては使いやすいかもしれません。

  

まとめ

ブロックチェーンは、いまだ一般普及しているとは言えず、ガートナーのハイプサイクルでは、幻滅期の中にいる状態です。しかし、ここを抜けるとあとは啓蒙期、安定期を経て一般的に浸透してくものと考えられます。その際、ブロックチェーンゲームは、BtoC向けの普及のきっかけになる、と期待されている分野です。ゲームとしては未成熟かもしれませんが、実際にコミットしているプレイヤーの方々の熱を感じると、これからの進化に大きな期待が持てます。

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