【事例】サプライチェーン×ブロックチェーン – スターバックスの場合

【事例】サプライチェーン×ブロックチェーン – スターバックスの場合

はじめに

ブロックチェーンの活用事例として、Microsoft Build 2019で発表された、Starbucksによるコーヒー豆のトレーサビリティを紹介します。

参考:

コーヒー豆の生産とフェアトレード

ここ数年日本でも、「フェアトレード (立場の弱い途上国の生産者を配慮した取引)」というワードを目にすることが多くなりました。コーヒー豆の生産は、このフェアトレードの中心的なテーマの一つです。

コーヒー豆の生産は、そのほとんどが途上国の小規模農家が担っています。そのため、

  • 市場での取引までに多くの中間業者が必要である
  • 市場での価格決定が生産者の状況を省みないものとなることが多い

といったことなどが要因となり、小規模農家にとって、生活の維持に必要な利益確保が難しくなるといったことが生じていました。

参照元:Real World Blockchain – Customer Scenario Showcase

そこでスターバックスは対策として、

  • 小規模農家とのコーヒー豆の取引をよりダイレクトにして価格を安定させる
  • コーヒー豆の生産や流通において、様々な認定基準を設ける

といった取り組みなどを通じて、取引の適正化を進めました。

この取り組みにおける重要な要素として、「取引の正当性を担保するための高い透明性」があげられます。

このような状況下、今回、スターバックスは、「トレーサビリティの高度化によるさらなる透明性の向上」「コーヒー農家へのファイナンス支援の拡充」などを目的に、ブロックチェーンの導入を行いました。

参照元:Blockchain as a Service 最新情報と新サービスにおけるブロックチェーン アプリ開発手法

コーヒー豆のSCMへのブロックチェーンの活用

サプライチェーンの概要

参照元:Blockchain as a Service 最新情報と新サービスにおけるブロックチェーン アプリ開発手法

コーヒー豆は、物理的には、「小規模農家 > 輸送業者 > 製造工場 > 配送業者 > 販売店 > 顧客」の順番に移動していきます。

このとき、各取引(トランザクション)の情報は、コーヒー豆に付与したコードをIoTデバイスにより読み取ることで、ブロックチェーン上に書き込まれていきます。

例えば、各取引における日時や、出荷したコーヒー豆の種類や量といったものを逐次書き込んでいきます。

この時さらに、取引情報がブロックチェーンに書き込まれるだけでなく、スマートコントラクトを組み合わせることで、事前の合意のもとでの取引が行われているかも検証も可能になります。

Azure Blockchain Serviceによる実装

今回の実装には、Microsoftのブロックチェーンサービスである「Azure Blockchain Service」が用いられています。

Azure Blockchain Serviceを用いるメリットとしては、下記のようなことが挙げられます (参考:Azure Blockchain Serviceの構成と構築)。

  • 堅牢なネットワーク基盤の容易な構築
  • (組織間のSCMで重要となる) コンソーシアム管理機能の拡充
  • 既存システムとの容易な連携

アーキテクチャの概要

参照元:Real World Blockchain – Customer Scenario Showcase

参考:Azure Blockchain Workbenchを用いたデモアプリケーションの作成

Azure Blockchainには、ネットワーク構築を容易にするだけでなく、ブロックチェーンアプリケーションの開発を支援する「Azure Blockchain Workbench」というものがあります。

Azure Blockchain Workbenchを用いることで、Webやモバイルに対応したクライアントアプリケーションの作成や、IoTデバイスとの連携といった、実務で必要な機能を簡単に実装できるようになります。

下記では、今回のスターバックスでのSCMと類似したデモアプリケーションの実装が紹介してあります。

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